倒産解除条項 当社は工作機械のメーカーですが、先日当社の顧客が民事再生手続開始の申立てをしました。当社とこの顧客との売買契約では、顧客が民事再生手続開始の申立てをしたときは、催告をしないで契約を解除することが出来る旨の特約があります。この特約に基づいて、当社はこの売買契約を解除することが出来るでしょうか。 貴社の顧客が民事再生手続開始の申立てをしたことのみを理由とする契約解除は、認められないものと考えられます。 解説 本件のような特約は倒産解除特約などと呼ばれていますが、裁判所は、同特約の有効性を認めることに消極的です。 ・建設用機械の所有権...
役員の責任追及 当社の取引先は、代表取締役の不正な取引により被った多大な損失が原因で、民事再生手続に入りました。再生債権者である当社は、この代表取締役に対して責任を追及することができるでしょうか。 民事再生法は、簡易迅速な決定手続きによる役員の責任に基づく損害賠償請求権の査定手続きを認めています(法143条)。従って、貴社は、①管財人が選任されていない場合には、取引先の代表取締役に対する損害賠償請求権の査定を直接裁判所に申し立てること...
共益債権 取引先が民事再生手続を申し立てました。会社再建のために引き続き取引をして欲しいと言われていますが、民事再生手続中であっても、通常どおり支払いを受けることができるのでしょうか。 ①民事再生手続開始「後」に生じた、売掛金や貸付などの再生債務者への債権や、②民事再生の申立てから再生手続開始決定までの期間であっても、再生債務者の事業の継続に欠くことができない債務を負担する場合(但し、裁判所の許可が必要です。) ③再生債務...
否認権 当社は、取引先が民事再生手続の申し立てをする直前に、同取引先が有していた売掛債権を譲り受けました。その後、監督委員から、当該売掛債権の譲り受けを否認するという手紙が届きました。当社としては、どうするべきでしょうか。 貴社が、その売掛債権を譲り受けた当時、手形不渡などの支払の停止があったことや、他の債権者を害することを知らなかったことを証明すれば、否認権を争うことができます。 解説 否認権は、債務者が「支払の停止等」(民事再生法127条1項2号)があった...
債権調査 当社は、民事再生手続に入った取引先の債権について届出を行いました。同手続では、当社が届け出た債権の内容等はどのように確定するのでしょうか。 民事再生手続においては、再生債務者(管財人が選任されている場合は、管財人)は、届出債権、及び、分かっている債権で届出されていないものについて、その内容と議決権の額を調査(債権調査)しなければならないものとされています(民事再生法101条)。...
個人再生 当社が売掛債権を有している個人が小規模個人再生手続に入りました。小規模個人再生手続は通常の民事再生手続とどのように異なるのでしょうか。 小規模個人再生は、民事再生の特側手続として、下記の要件を満たす場合に認められます。 まず、通常の民事再生手続の開始要件として、 債務者に破産の原因たる事実の生ずるおそれがあるか、又は債務者が個人事業者の場合には、当該事業の継続に著しい支障を...
債権届出書の作成、届出 当社が売掛債権を有する取引先が民事再生手続に入り、裁判所から債権届出書が送られてきましたが、うっかり届出期間を過ぎてしまいました。当社の債権はどう扱われるのでしょうか。 原則として免責されてしまいますが、自認債権として認めてもらえることもあります。また、追完できるケースもあります。 解説 再生債権者は、裁判所に再生債権の届出をすることによって再生手続に参加できるようになります(民事再生法94条)。 もしこの...
別除権者の手続参加 当社の取引先は民事再生を申し立てました。当社はこの取引先に売掛債権を有しており、当該債権は取引先の不動産に設定された抵当権により担保されています。ただ、当社の売掛債権の総額は当該担保評価額を超えているため、不足額については別に権利行使したいと思っているのですが、可能でしょうか。 民事再生手続開始の時において、再生債務者の財産について存在する担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法・会社法上の留置権)を有する債権者は、別除権者として、再生手続によらないでその債権を行使することができます(民事再生法53条)。 もっ...
財産評定 民事再生手続においては,再生債務者の財産の価額評定はどういった基準で行われ,再生債権者にとってどのような意義をもつのでしょうか。 解説 民事再生法では,再生債務者は再生手続開始後遅滞なく,再生債務者に属するいっさいの財産について再生手続開始の時における価額を評定しなければならないと定めています(124条1項)。そして,財産評定は,原則として処分価額を評価基準として(処...
相殺 当社が売掛債権を有する取引先が民事再生手続に入りました。当社は当該取引先に債務も負担しているので相殺できればと考えています。ただ,売掛債権の弁済期は債権届出期限の後に到来するもので,かつ,民事再生手続の申立てを期限の利益喪失事由とする約定は結んでいません。相殺はできないのでしょうか。 民事再生法では,再生債権者による相殺権の行使は,裁判所の定めた債権届出期間内に限りすることができると定められています(法92条1項)。 その趣旨は,相殺を広範囲に認めると会社の再生・更生を図ることが困難になるといったことや,民事再生は再建型...
外国財産からの弁済 当社の取引先が民事再生を申し立て、再生手続開始決定がありました。この取引先は海外に財産を有していることが分かっているのですが、再生債権者である当社は、この取引先が海外に保有する財産から弁済を受けることができるのでしょうか。 平成12年以降の倒産諸法制の改正に基づいて、日本の民事再生手続の効力は外国にも及ぶことになりました。従って、再生債権者は、民事再生手続開始決定後に再生債務者の外国財産から弁済を受けることはできないことになりそうです。しかし、その財産の所在地...
弁済 当社の取引先は民事再生を申し立てるようです。当社は売掛債権を有していますが、少額です。民事再生の手続が開始した後、どのような場合に少額債権の弁済を受けることができるのでしょうか。 民事再生手続が始まる前に発生した債権は再生債権といって、再生計画が成立してから、これに従って弁済されます(民事再生法85条)。但し、少額債権については、下記の場合に、再生計画成立前に弁済されることがあります。 1 手続の円滑な進行のための少...