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一般条項について

目次

  1. 定義条項
  2. 契約期間条項
  3. 譲渡禁止条項
  4. 秘密保持条項
  5. 保証条項
  6. 契約解除条項
  7. 損害賠償の制限条項
  8. 相殺条項
  9. タックス条項
  10. 準拠法条項
  11. 訴訟管轄条項
  12. 反社会的勢力排除条項
  13. 誠実協議条項

定義条項

定義条項では、契約者双方の解釈が異なる可能性のある用語について、正確な定義を与えていきます。 定義条項の狙いは、双方の解釈の違いから発生する将来の紛争の予防にあります。 契約書の冒頭で重要用語を規定しておいたほうが契約の構成上わかりやすいことから、通常、定義条項は、契約書の第1条に規定されます。

【例】
第1条(定義)
 本契約において、次の語句は下記の意味を有するものとする。
 1 「ソフトウェア」:×××××。

販売店契約、継続的売買契約、ライセンス契約、フランチャイズ契約などにおいては、契約期間の定め及びその更新方法の定めが重要です。 現実的にも、契約期間(特に予想しない時期の途中解除)や更新の有無から生じる問題は重大であり、ここから発生する紛争は後を絶ちません。 契約の内容に応じて、どのような契約期間の規定がふさわしいかを熟考し、適切な契約期間を定めましょう。

契約期間条項

【例】契約期間を1年とし、1年毎の自動更新とする条項
第○条(契約期間)
 本契約は、契約の日から1年間有効とする。
ただし、本契約またはその契約延長の満了日の6ヶ月前までに、当事者の一方が相手方に対し、本契約を終了させる旨の書面による通知をして終了させない限り、自動的に1年ずつ更新されるものとする。

当事者間の信頼関係が重要な契約において、契約の相手方が変わるというのは重大な事態です。 変更後の契約相手方の履行能力や誠実さ、所在地等、契約がスムーズに履行されるかどうかに対する影響は計り知れません。 契約書を作成する際には、契約の内容や期間を考慮し、以下のようなパターンから契約譲渡についての基本的な方針の選択を行います。

  • 双方とも相手方の事前の同意なしに譲渡することを禁止する
  • 一定範囲の関連会社への譲渡は事前の同意なしに可能とする
  • 譲渡した後も元の契約者が責任を負担し続けることなどを条件に譲渡を認める、など。

譲渡禁止条項

【例】 双方とも相手方の事前の同意なしに譲渡することを禁止する条項
第○条(契約譲渡制限)
 本契約または本契約のいずれの部分も、相手方の書面による事前の同意がなければ譲渡できないものとする。かかる同意なしになされた譲渡は無効とする。

契約の各段階において、秘密情報を相手方に提供したり、相手方より提供される機会があります。 そのような場合に備え、第三者に漏洩されれば営業に支障が出る危険のある情報については秘密を保持するという義務を課すのが秘密保持条項の役割です。 ここではごく簡単な例をご紹介します。 詳しくは「秘密保持契約書」をご参照ください。

秘密保持条項

【例】 簡潔な秘密保持条項
第○条(秘密保持)
 甲および乙は、本契約に基づいて相手方より提供された情報を秘密として取り扱い、その管理に必要な処置を講ずるものとする。

保証条項

売買契約書や開発請負契約書において、納入品が第三者の知的財産権を侵害していないことを保証する条項を保証条項といいます。 しかし、売主や請負人が、第三者の知的財産権の内容を全て把握することは非常に困難です。 このため、保証条項を設ける場合、売主側や請負人側としては、「侵害しないものであることを保証する。」と明言することは避け、「侵害しないよう万全の注意を払う。」などという記載に留めておくことをお勧めします。

【例】 乙の保証努力義務を定める条項
第○条(保証)
 乙は、納入品が第三者の特許権その他の知的財産権を侵害しないよう万全の注意を払う。

契約解除条項

契約期間中、相手方の倒産や重大な契約違反といった契約を解除しなければ対応できない事態が生じることがありますが、 あらかじめ、解除できる場合を契約書で決めておけば、解除の有効性を巡る紛争の防止に役立ちます。 解除事由とするかどうかを検討すべき事項は、契約の種類によって異なりますが、一般的には、相手方の経営状態の変化(倒産など)、他の契約条項違反などが挙げられます。

【例】
第○条(解除)  甲または乙は、相手方に次の各号に該当する事由が生じた場合、なんらの催告なくして直ちに本契約および本契約に基づく個々の契約の全部または一部を解除し、かつ、それによって生じた損害の賠償を相手方に請求することができる。
 1 本契約又は個別契約に違反したとき。
 2 破産・民事再生・会社更生等の倒産手続きの申立てを受けたとき又は自ら申立てをしたとき。
 ・・・

損害賠償の制限条項

契約内容に違反があると損害賠償の問題が生じます。 債務不履行における損害賠償の範囲は、民法等に規定されていますが、これをそのまま適用すると、違反者側が非常に大きな賠償責任を負う危険性があります。 このため、損害賠償の範囲を当事者の合意の範囲に限定する機能を果たすのが損害賠償の制限条項です。

【例】 損害賠償の範囲を契約金額に限定する条項
第○条(損害賠償の制限)
 甲または乙が本契約を履行する上で相手方または第三者に損害を与えた場合、損害を与えた者は、契約金額を限度としてその賠償の責めに任ずるものとする。

相殺条項

例えば、商品の売買契約において、買主側が売主に対する損害賠償を主張し、その請求額と商品の代金を相殺してしまうと、売主側のキャッシュフローに思わぬ影響を与える可能性があります。 このような不都合を回避するには、相殺禁止条項を規定し、損害賠償請求権の有無については別途解決するよう導くことが考えられます。 一方、相殺を行うには、原則として、相殺適状に達していることが必要ですが、相互に債権債務を有するに至った場合に、弁済期の有無を問わず対当額で相殺しうる旨定めておくことも可能です。 これを相殺予約条項といいます。 また、国際取引では、契約書で相殺の権利そのものがあることを明確にしておくのが、後の紛争防止に有効といえます。

【例1】 乙(買主)からの相殺を禁止する条項
第○条(相殺禁止)
 甲(売主)が乙(買主)に債務を負担する場合、乙は、本債権と甲が乙に対して負担する債務とを相殺する権利はないものとする。

【例2】 弁済期の到来を待たずに相殺可能とする条項
第○条(相殺予約)
 甲(売主)が乙(買主)に債務を負担する場合、甲は、本債権の弁済期が到来すると否とを問わず、本債権と甲が乙に対して負担する債務とを対当額にて相殺することができる。

タックス条項

国際取引では、税金にかかわる問題が重要になります。 具体的には、誰が支払うかという問題、支払った額を誰が負担するかという問題がありますが、決定方法としては、税金の種類により負担者を決める方法、賦課する当局の国籍により税金の負担者を決める方法などが考えられます。 どのように税金に対応していくのかは個々のビジネス毎に判断が求められる問題で、慎重な検討が必要です。

【例】 それぞれの税法により課税された当事者が税法に従って支払い、負担するとする条項
第○条(税金)
 本契約に従って甲および乙が遂行する個別の営業活動から生ずる税金は、適用法によりその税金が課される当事者により負担され、支払われるものとする。

準拠法条項

準拠法条項は、海外取引において重要な役割を担う条項です。 他国の相手方と契約を締結する場合、どの国(または州)の法を採用するかはビジネス上の判断次第ですが、自国(あるいは州)の法律、相手方の国(あるいは州)の法律または当事者双方が知っている第三国(あるいは州)の法律を準拠法とすることが考えられます。

【例】 日本法を準拠法とする条項
第○条(準拠法)
 本契約は日本法に準拠し、日本法に従って解釈されるものとする。

訴訟管轄条項

当事者双方の住所が離れている場合、管轄裁判所がどこであるかは、万が一紛争に発展した場合の負担の大きさを左右する問題です。 このため、自己の訴訟進行に有利な裁判所を合意管轄として定めることを置くことをお勧めします。

【例】 東京地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする条項
第○条(合意管轄裁判所)
 本契約に関し訴訟の必要が生じたときは、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

反社会的勢力排除条項

暴力団をはじめとする反社会的勢力と一切の関係をもたないことは、今日の企業倫理として重要ですが、暴力団の資金獲得活動の巧妙化などにより、暴力団関係企業等と知らずに取引を行ってしまう可能性があります。 このため、契約締結後に相手方が反社会的勢力であることが判明した場合には、無催告解除ができるように定めておくことが効果的です。

【例】 無催告解除条項のひとつとして反社会的勢力排除を盛り込んだ条項
第○条(無催告解除)
甲および乙は、相手方に次の各号の一に該当する事由が生じたときは、何らの催告を要せず、本契約を直ちに解除することができる。 この場合、解除により相手方に発生した損害を賠償する責任を一切負わないものとする。

 1 ×××××。
 2 ×××××。
 3 ×××××。
 4 甲または乙の営業もしくは経営に暴力団を関与させ、またはこれらの者の事業拠点への出入りを許容したとき。

誠実協議条項

誠実協議条項は、契約者双方の信頼関係に基づき、契約書に定めのない問題等が発生した場合には当事者間の協議でその解決をはかるとするものです。 日本の法律では、必ずしも書面のみを重視せず、裁判においても口頭証拠による立証の余地を残していますが、問題が発生した場合に解決に費やす時間等のロスを最小限にするため、契約書にはできるだけ詳細に権利義務を定めることをお勧めします。

【例】
第○条(誠実協議)
 本契約に定めのない事項または疑義が生じた事項について、甲および乙は、相互に誠意を持って協議し、その解決をはかるものとする。

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