自身が創作した著作物の譲渡を検討しています。譲渡後も、著作物の使用は続けたいです。どのような契約書を作成したら良いですか。
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1 はじめに
著作権の対象となる著作物は、データの形で存在することがあります。そうすると、通常の動産(例えば車など)と異なり、著作権を譲渡した後も、譲渡人の手元に著作物がデータとして残ることがあり得ます。
また、著作物を創作をした者からすると、自分が創作した著作物は自分が使い続けるのが当然と考える傾向があります。
以上からすると、著作権譲渡後も、譲渡人が、譲受人の許可なく、著作物の使用を続けてしまうことが考えられます。
本記事では、①著作権譲渡後の譲受人の許可なき著作物の使用は著作権侵害になること②著作権譲渡後に譲受人の許可なく著作物を使用するとどうなるか、②著作権侵害にならないための契約書の文例について、具体例を示しながら解説します。
2 著作権譲渡後の譲受人の許可なき著作物の使用は著作権侵害になること
著作権とは、大まかにいうと、著作物を独占的に使用できる権利のことです。
著作権を譲渡した後は、譲受人が当該著作物を独占的に使用できることになるのですから、譲渡人が譲受人の許可なく著作物の使用を続けることは、譲受人の著作権を侵害する行為ということになります。
3 著作権譲渡後に譲受人の許可なく著作物を使用するとどうなるか
(1)民事上の請求
ア 差し止め請求
著作権法(以下、「法」といいます)第112条は、以下のとおり定めています。
(差止請求権)
第百十二条 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。
著作権者(著作権譲渡後の譲受人)は、上記の規定を根拠に、著作物の使用を差し止め請求することが考えられます。
イ 損害賠償請求
著作権者(著作権譲渡後の譲受人)は、民法を根拠に、譲渡人の著作物の使用により被った損害の損害賠償請求をすることが考えられます。
(2)刑事罰
著作権法では、第119条以下で、著作権侵害の罰則が定められています。著作権侵害をした者は、10年以下の懲役若しくは1000万円の罰金、又はその両方が科せられる可能性があります。
3 著作権侵害にならないための契約書の文例
(1)法律構成
著作権侵害にならないための法律構成としては、著作権の譲渡人が、譲受人から、著作物の使用について使用許諾を得ることが考えられます。
(2)文例
例えば、以下のような条項を契約書に入れることが考えられます。
第●条(使用許諾)
【著作物の譲受人の名称】は、【著作物の譲渡人の名称】に対し、【著作物の名称】の使用について下記の条件で許諾する。
(1)使用の方法
【譲渡人が譲渡後に著作物を使用する方法として考えられるものを記入します】
(2)許諾期間
譲渡日から、●年●月●日まで
【譲渡人が譲渡後に著作物を使用する期間の見込みがあれば、記入します。特になければこの号ごと削除します】
(3)対価
【使用許諾は、必ずしも対価を支払わなければならないものではありません。しかし、対価が発生することが一般的です。この号で、対価の額、支払時期、支払方法などを定めておくことが考えられます。】
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