当社では、マーケティングの一環として、当社が提供しているサービスに関連するブログ記事を従業員が交代で執筆しそれを掲載しています。ウエブのコンサルタントから、執筆者を明示したほうがよいというアドバイスがあったので、このブログ記事の末尾には、執筆した従業員の氏名を付記しています。このブログ記事の著作権に関する法律関係はどのように考えるべきでしょうか。また、執筆した従業員が退職した場合はどうなるのでしょうか。

著作権法では、職務著作として、会社に著作権が帰属する要件として、「その法人等が自己の著作の名義の下に公表する」ことが求められており、執筆者の表示があると、原則として、その著作権は執筆者に留保されていると解釈されます。

しかし、裁判例の中には、個人が会社の機関として、会社内部の役割分担として原稿を執筆していると認められる場合には、個人の氏名表示も法人内部の職務分担表示であり、著作物に対する著作権は会社に帰属するとしたものがあります。
ご質問のケースでは、会社が企画した内容に沿って、勤務時間中に業務として執筆しているので、このように認定される可能性も高いと思います。

仮に、個々の従業員が著作権者であると考えても、御社は従前どおり、そのブログ記事を掲載し続けることができます。
というのは、そのように掲載することについて従業員の許諾があるからです。
一旦許諾がある以上、当該従業員が退職しても、法律関係が変更することはありません。
ただ、掲載することができる期間については、ケースごとに考える必要があると思います。
使用を許諾した趣旨からして、そのブログ記事が陳腐化しない間はブログを書いた趣旨に沿った利用だと思われますので、業界や記事の内容を個々に判断して、当事者が想定したであろう相当期間を認定することになります。
ただし、従業員が著作権者であるとすると、その記事を当初予定した

今後への備えですが、ブログ記事についての著作権を御社が明らかに有していると言えるようにするために、就業規則などで業務命令によって執筆した記事は、例え個人名を付していても会社が著作権者となることを規定し、個々のブログ記事の末尾に「本ブログの著作権は執筆担当者名の表示の有無にかかわらず当社に帰属しております。」といった記載をすると良いでしょう。

参考:
著作権法 (職務上作成する著作物の著作者)
第15条  法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

Category:特許・著作権 , 著作権

TAGS:職務著作

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