「付随対象著作物の利用」といって著作権法違反にはなりません。
解説
「付随対象著作物」(著作権法30条の2第1項)にあたるのは,次の要件を満たす場合です。
- 写真,録画,録音の方法であること
- 撮影した写真やビデオに他の作者の著作物が写り込んでしまい,又は録音した音楽に他の作者の音楽が録り込まれてしまい,その分離が困難であること
- もともと撮影した写真,ビデオ又は録音しようとした音楽の構成において,他人の著作物の写り込み等が,軽微なものであること
- 著作権者の利益を不当に侵害しないこと
街の風景をビデオに録画していたところ流れていた音楽がたまたま録り込まれた場合や,写真撮影をしたところ背景に小さく絵画が写り込んだ場合などがこれにあたります。あくまで「写り込んでしまった」場合,「録り込まれてしまった」場合ですので,撮影対象として他人の描いた絵画を撮影するような場合は「付随対象著作物」にはあたりません。「付随対象著作物」にあたれば,本来の著作物の利用に伴って複製,公開等することが許されます。
単なる「写り込み」の場合,著作権違反にはあたらないだろうと考えるのが一般的な感覚だと思います。また、写り込みについて紛争になった事例もほとんどありませんでした。 しかし実は,「付随対象著作物」の制度が施行されたのは平成25年1月のことで,それまでは形式的には著作権違反だったのです。 現在では、立法によって要件が明確になり、適切に対応しやすくなっています。