委員会設置会社や監査役等設置会社の業務執行をしない取締役や社外取締役であっても、税制適格ストックオプション対象になるでしょうか。
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委員会設置会社や監査役等設置会社の業務執行をしない取締役や社外取締役であっても、税制適格ストックオプション対象になるものと解されています。その理由は以下のとおりです。
税制適格オプションの付与対象者は、租税特別措置法第29条の2第1項に定められています。
この条文そのものは( )書きだらけで相当読みづらいですが、要約すると以下のようになります。会社法の決議により新株予約権等を与えられる者とされた当該決議のあつた株式会社等の取締役、執行役若しくは使用人である個人(「大口株主※」を除く。)が、当該付与決議に基づき当該株式会社と当該取締役等との間に締結された契約により与えられた当該新株予約権等を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等(税制適格オプションの要件を満たすものに限る)に係る株式の取得をした場合には、当該株式の取得に係る経済的利益については、所得税を課さない。
※大口株主とは以下の株数を有する株主で、一般的には創業者や創業者チームが該当します。
① 金融商品取引所に上場されている株式等 株式会社の発行済株式の総数の十分の一を超える数
② 未上場株式 発行済株式の総数の三分の一を超える数
(租税特別措置法施行令19条の3第3項)監査役は、会社の役員ですが「取締役」ではないため、税制適格オプションの付与対象者とされていません。平成9年に旧商法に導入されたストックオプション制度が取締役と従業員のみを対象としていたことや、監査する立場とストックオプションのような業績連動型の報酬制度の親和性がないと考えられたのだと思います。
平成14年会社法改正により指名委員会等設置会社制度(旧委員会設置会社)が、平成26年会社法改正により監査等委員会設置会社制度が導入されました。指名委員会等設置会社は取締役会の中に3つの委員会を置く制度であり、監査等委員会設置会社は取締役によって組織される監査等委員会を設置する制度です。
つまり、これらの会社の委員や監査等委員はいずれも取締役であり、取締役会において議決権を有しています。
これらの制度が導入されるにあたって、法文上も、租税特別措置法に「取締役(指名委員会等設置会社の各委員である者を除く)」といった修正がなされなかったことから、指名委員等や監査等委員は税制適格オプションの付与対象者と解されています。
実際に、上場会社において監査等委員に対して税制適格ストックオプションとして設計された新株予約権が付与されている事例も少なくありません。
2019 Jan.