準拠法条項の規定の仕方、また規定しない場合はどうなるのか、教えてください。
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準拠法条項(Governing Law)とは、その契約の法的解釈をする場合に、どの国の法律を基準とするかについて取り決める条項です。
準拠法をどの国の法律とするかは、国際間における契約交渉において、主張が対立しやすい条項のひとつで、当事者双方が自分の国の法を準拠法とすることを主張するケースが多く見られます。どうしても当事者いずれかの国の法を準拠法とするとの合意ができない場合、妥協案として第三国の法律を準拠法として選択することも考えられます。
アメリカのような連邦国家の場合、準拠法をアメリカ法とすると定めただけでは準拠法の特定として不十分です。この場合、アメリカのどの州の法律を準拠法とするかを定めます。
当事者間において、どの国の法律を適用するかについて特段合意していない場合、国際私法(Private International Law)または抵触法(Conflict of Laws)と呼ばれる原則によって、どの法律を適用するかが決まります。
日本では、「法の適用に関する通則法」(略称「通則法」 平成19年施行)という法律がこれにあたります。通則法は「法例」(明治31年施行)が改正されたものです。
通則法では、第7条から第12条で法律行為についてのルールが定められています。
当事者が準拠法を選択している場合、原則として、法律行為の成立及び効力は、当事者の選択した国(または州)の法によります(通則法第7条)。
当事者が準拠法を選択していない場合、原則として、法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時、当該法律行為に最も密接な関係がある国(または州)の法律によるとされています(通則法第8条第1項)。
以下、日本の法人とアメリカ合衆国カリフォルニア州の法人との間であるビジネス上の契約を締結することになった場合を想定して、準拠法条項の例をご紹介します。
【例】
This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of Japan.
【訳】
この契約は、日本法に準拠し、日本法に従って解釈される。
【例】
This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of the State of California, the United States of America.
【訳】
この契約は、アメリカ合衆国カリフォルニア州法に準拠し、アメリカ合衆国カリフォルニア州法に従って解釈される。
【例】
This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of Japan, without reference to principles of conflicts of laws.
【訳】
この契約は、法の抵触のルールを排除して、日本法に準拠し、日本法に従って解釈される。
上記例の「without reference to principles of conflict of laws」とは、法の抵触による適用法の選択のルールを考慮することを排除する旨を定めたものです。当事者の合意により日本法によって契約を解釈するとしたにもかかわらず、カリフォルニア州や他の国の法の抵触のルールが適用された結果、カリフォルニア州法によって契約を解釈しなければならなくなるような事態を避ける趣旨で、このように定められる場合があります。
【例】
This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of Singapore.
【訳】
この契約は、シンガポール法に準拠し、シンガポール法に従って解釈される。
上記例では、準拠法を日本法でもカリフォルニア州法でもなく、第三国であるシンガポールの法とするものです。
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