当事者の関係条項は、どのような場合にどのように規定する必要がありますか。
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英文契約書の文献などによっては、「当事者の関係条項(Relationship of the Parties)という条項を一般条項として掲げています。この当事者の関係条項はあらゆる契約書に常に規定されるというよりは、ライセンス契約や販売店契約、コンサルタント契約などで規定することがあるように思われます。
以下のような例文がこの当事者の関係条項に該当しますが、タイトルとしては「Independent Contractors」「Independent Parties」(独立契約者)というタイトルが使われたりすることもあります。
例文
The parties are independent contractors, and nothing contained herein shall constitute or be construed to create a partnership, agency or joint venture between the parties.
(契約当事者は独立した契約者であり、本契約上のいかなる規定も、当事者間にパートナーシップ、代理関係又はジョイントベンチャーを構成するものでもなく、また、生み出すと解釈されないものとする。)
上記例文から分かりますとおり、当事者の関係条項というのは、契約当事者が互いに他方当事者の代理人とならないことやパートナーシップを構成するものではないことを確認する規定ということになります。
例えば、コンサルタント契約を締結したところ、そのコンサルタント側が、委任者の代理人を無断で名乗って、委任者の行為を代わりに行ったり、債務を負担したりすることがないようにするための規定と言えます。このような趣旨の規定ですから、第三者からすると、代理人のように見えるおそれがあるような場合に規定することが望ましい一般条項ということになります。
その為、売買契約書などではあまり規定されることがなく、販売店契約やライセンス契約などでは規定されることが多くなるのだろうと思われます。販売店契約をした場合には、継続的な契約であることが予想され、販売店が販売促進の観点から、メーカーに無断でメーカー保証を付したり、販売店契約の対象外の当該メーカーの商品についてまで販売店であることを吹聴したりすることを避けたいという狙いがあります。
ところで、上記例文では「herein」という単語が使われています。英文契約書では「here」に前置詞を合体させる単語がよく見られます。この場合の「here」というのは「本契約」という意味で、それにinを合体させていますので、「 本契約において」とか「本契約上」などと訳することになります。
次に、契約によっては、一定の程度の事項については代理権限を一方当事者に付与する場合もあるかと思います。そのような場合には、以下の例文のように、「本契約で規定される場合を除き」という留保を挿入するとよいです。
例文
The parties are not partners or joint ventures. XYZ is not entitled to act as YYY's agent except as provided in this Agreement and YYY shall not be liable for any representation, act or omission of XYZ.
(契約当事者は互いにパートナーでもジョイントベンチャーの構成員ではない。XYZは、本契約で規定される場合を除き、YYYの代理人として行為してはならないものとし、また、YYYはXYZのあらゆる表明、作為又は不作為について、責任を負わない。)
ただし、当事者の関係条項を規定していたとしても、我が国の民法上の表見代理の規定のように、第三者の立場から見て、本当は代理人ではないのに、代理人であると信じるに足りる事情がある場合には、その第三者を保護する必要性が高いということになり、結局は責任を負うおそれもありますので、その点は留意する必要があります。
以上
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