会社による政治家又は政治団体への寄付に関する規制
-
1 はじめに
企業活動を行ううえで、政治家との付き合いが生じる場合があり得ます。
パーティーへの参加会費等を求められることもあり得るところです。
資金の支出は政治資金規正法によって許されない場合がありますので、注意が必要です。2 政治家・後援会への寄付の禁止
会社、労働組合やその他の団体は、政治家個人や、政治家の後援会へ寄附することはいっさい禁止されています。
寄付が許されているのは、政党、政党支部または政治資金団体に対するものに限られます。
なお、上記の「政治資金団体」とは、各政党がそれぞれ1つだけ指定できる団体であり、2023年11月現在では全部で2団体のみであり、「政治資金団体」とは、後援会とは異なりますので、注意が必要です。
このように、寄付は、政党、政党支部または政治資金団体に対するものに限られ、政治家や、後援会には寄付はできません。3 「寄附」とは
「寄附」とは、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう」とされ、「法人その他の団体が負担する党費又は会費は、寄附とみなす。」とされます。
つまり、会社が会費や党費の名目で支出する資金は、寄附とみなされます。
とすると、会社は、会費や党費の名目であっても、政治家や、後援会には支出することはできないといえます。4 政治資金パーティー
(1)政治資金パーティー
「寄附」とは異なるものが「政治資金パーティーの対価」です。
政治資金パーティーとは、対価を徴収して行われるパーティーで、当該パーティーの対価に係る収入の金額から当該パーティーに要する経費の金額を差し引いた残額を、当該パーティーを開催した者(政治家)又はその者以外の者(後援会)の政治活動に関し支出することとされているものをいいます。
政治資金パーティーの対価は、政治活動に活用されることが想定されますが、寄附ではなく、一定の範囲で許されることになります。(2)政治資金パーティーの対価の制限
このような政治資金パーティーの対価については、政治資金パーティーの開催通知等によって、「この催物は、政治資金規正法第8条の2に規定する政治資金パーティーです」などと記載し、告知される必要があります。
また、1回の政治資金パーティーについて、同一の者からの対価の支払いは150万円以下に限られます。
また、政治資金パーティーの対価の支払いがされ、それが1回あたり20万円を超える場合、支払いをした者の氏名(又は団体名称)、住所(又は所在地)、職業(又は代表者氏名)が収支報告書へ記載され、公表されることになります。5 罰則
上記の寄付の禁止に違反した場合、寄付を実行した者及び会社に対し、罰金が科されます。
また、このような事実が知れ渡ることにより、会社のレピュテーションは著しく低下してしまうといえます。6 小括
企業活動において政治家との付き合いが生じる場合はありますが、違法な資金の支出は法令に対する重大な違反になってしまうので、適法性を検討したうえで進める必要があります。
このQ&Aを見た人におすすめ