共同開発で考案した発明を、共同開発者の1人が勝手に単独名義で特許申請してしまいました。
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共同開発で考案した発明では、特許を受ける権利も共有となります。
特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ特許出願をすることができません(特許法38条)。ですから、特許申請した人以外の共同開発者は、特許無効の審判を起こすことができます(特許法123条)。しかし、特許無効審判は、その特許を無効とするだけですから、特許権の共有者として認められるための手段としては適切とはいえません。
この場合、まず、相手方に対して、特許無効審判の可能性を示した上で、特許出願手続の補正を行って、発明者および出願人の表示に特許申請した人以外の共同開発者の名前を追加するのがよいと思われます。
では、裁判手続で救済を受けることはできないのでしょうか。
出願公開や特許査定がなされた後に、特許出願の手続を行っていない真の権利者(特許申請した人以外の共同開発者)から、このような冒認特許を行った者(勝手に単独名義で特許申請した共同開発者)に対して、権利や持分の移転登録を裁判で請求することは原則的にできないというのが通説的な考え方です(※注1)。
裁判をするならば、特許権の確認をするよりも損害賠償請求をするのがよいでしょう。
(※注1)
例外的に、XとAが共同して特許出願をした後、Yが、Xから特許を受ける権利の持分を譲渡された旨の書類を偽造して出願人名義変更届を出したことから、YとAを特許権者として特許権の設定登録がされてしまった事例で、Xの特許権の持分についての移転登録手続が認められたケースがあります(最高裁判例 平成13年6月12日判決)。