当社の妊娠中の女性従業員が休暇を求めています。今後に備え、妊婦・産婦に対する適切な対応を教えてください。
-
妊娠中から子の小学校就学までの適切な期間に、①産前・産後・育児休業、②勤務時間の短縮、③所定外労働の免除、④フレックスタイム制等の努力、⑤看護休暇、⑥時間外・休日労働、深夜業の制限、⑦育児時間等の措置を講ずる必要があります。
解説
事業者は、妊婦・産婦に対して、母性の保護に配慮しつつ、男女雇用平等のために柔軟かつ適切な措置を講ずる必要があります。そのため、法律上以下の措置が求められています。概要を示した図とともにご参照下さい。
参照:「改正育児・介護休業法 参考資料集」(厚生労働省HP)① 休業
・【出産予定6週間前~出産8週間(原則)】 産前・産後休業(労働基準法65条)
・【出生~1歳(原則)】 育児休業(育児介護休業法5条)
*【~1歳2か月】 両親共育児休業(パパママ育休プラス)(育児介護休業法9条の2)
*【~1歳6か月】 延長(育児介護休業法5条3項)② 育児休業に代わる所定労働時間短縮
・【出生~3歳】 義務(育児介護休業法23条1項、2項)
*【3歳~小学校就学】努力義務(育児介護休業法24条1項3号)③ 請求による所定外労働の制限
・【出生~3歳】 義務(育児介護休業法16条の8)
*【3歳~小学校就学】努力義務(育児介護休業法24条1項3号)④【出生~小学校就学】努力義務(育児介護休業法24条1項、規則34条2項)
ⅰ フレックスタイム
ⅱ 始業・終業時刻繰り上げ・下げ
ⅲ 託児施設の設置運営
ⅳ ⅲに準ずる便宜供与
ⅴ 育児休業に準ずる措置⑤【出生~小学校就学】申出による看護休暇付与義務(育児介護休業法16条の2)
⑥ 請求による時間外・休日労働、深夜業の禁止・制限
・【妊娠中~1歳】 禁止(労働基準法66条2項、3項)
・【~小学校就学】 時間外労働(育児介護休業法17条)、深夜業(19条)⑦【出生~1歳】請求による育児時間の付与(労働基準法67条)
また、以上の措置の中には労働者の申出によるものが含まれていますが、申出の有無が争われることもあります。そこで、後のトラブル防止のため、労働者の申出は書面による旨を規定しておくべきです。参考
「育児・介護休業法について」(厚生労働省HP)
「育児・介護休業等に関する規則の規定例」(厚生労働省HP)