当社では、有期契約社員の更新をしない予定ですが、「雇止め」で無効とならないか心配です。どのような点に注目すべきでしょうか。
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「更新の合理的期待」の程度、及び、「雇止めの理由」に注目すべきです。
解説
労働者に「更新の合理的期待」が生じ、有期契約社員の更新拒否が「雇止め」に当たる場合には、更新拒否は、「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当」といえるときに制限されます(労働契約法19条)。
まず、この判断においては「更新の合理的期待」(他のQ&A参照)の程度が関係します。
厚生労働省の報告(参考1。2も参照)によれば、大きく3タイプに分けられます。
(+:「更新の合理的期待」を増加させる事情、 -: 増加させない事情)- 実質無期契約タイプ →ほとんど認められない
+ 業務内容が恒常的であり、更新手続が形式的
+ 雇用継続を期待させる使用者の言動あり
+ 同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がほとんどない
+ 臨時的な地位であるものの、更新回数が多い
+ 更新回数が少ないものの、恒常的な地位で、無期社員からの転換という特殊事情あり - 期待保護(反復更新)タイプ →経済的事情による場合は、かなり認められる
+ 業務内容が恒常的であり、更新回数が多い
- 業務内容が正社員と同一でない
- 同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がある - 期待保護(継続特約)タイプ →認められない事案が多い
+ 同一会社において正社員から雇用形態を変更した
+ もともとは期間の定めのない契約であった
- 更新手続・方法が厳格
- 更新回数は少ない
また、客観的合理的理由・社会通念上の相当性が認められるかの判断においては、「雇止めの理由」が重要です。実務的には、以下の点を知っておくとよいでしょう。
● 人員整理・雇用調整を理由とする、正規従業員の解雇に先立つ雇止めは、認められやすい
傾向にある
● 能力不足・勤務態度不良を理由とする雇止めのケース
・ そもそもこれらを示す客観的資料(勤務評定など)が存在しないことが多い
・ 指導によっても改善しなかった事実が必要とされる場合がある参考
- 「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」(厚生労働省HP)
- 実質無期契約タイプ →ほとんど認められない