当社はウェブサイトを通じてアプリを提供しています。お客様からの利用申込みにあたって、あらかじめアプリ利用規約を作成してウェブサイトに掲載しておけば、そのとおりの契約が締結されると考えてよいのでしょうか。
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以下の場合、利用規約の内容が契約内容とならない場合があります。
- 利用規約を事前に適切に開示していないとき
- 利用者が利用規約に同意して申込みを行ったと認められないとき
また消費者契約法上,消費者に不利な条項は無効とされるおそれがあります。
解説
利用規約の事前開示・利用者の同意
ウェブサイトに掲載する利用規約は、通常の取引でいう契約書にあたります。利用者はその内容を理解して、同意の上で、利用契約を締結することになります。
とはいえ現実的には、利用者がウェブサイトの利用規約をきちんと読んで、その内容を理解して利用申込みをしているということを期待できない場合が少なくありません。あとから利用者に「そんな条件は聞いていない」と言われてトラブルになることを防ぐため、利用規約の掲載には注意を払う必要があります。具体的には、
(1) 取引の申込にあたり利用規約を表示して同意を求めるクリックを要求する方法
(2) 取引の申込にあたりわかりやすく利用規約へのリンクを設置する方法
は、利用規約の適切な事前開示があったといえ、利用申込を行った者には利用規約への同意が認めらます。
しかし、
(3) 取引の申込にあたり利用規約への同意クリックを要求せず、利用規約もウェブサイト内の目立たない場所に掲載する方法
である場合、利用申込に「利用申込をした者は本利用規約に同意したものとみなします。」という条項があったとしても、利用規約への同意があったと認めることは難しいとされています。また、できる限りトラブルを回避するという観点からは、利用規約全文を表示し、かつ全文スクロールしなければ同意クリックができないというような方法を採るべき場合もあります。アプリの利用者からその端末情報や位置情報、利用履歴などを収集する場合など、利用者の想定しない動作をする場合、このような方法を採るべき場合であると考えられます。
さらに消費者契約法は、利用者に対する説明が「明確かつ平易なもの」となるよう配慮することを要求しています。これは努力義務にとどまり、説明が平易さを欠くとしても直ちに契約が無効となるものではありませんが、説明不十分の程度が著しい場合は利用者の同意が認められません。
消費者契約法により無効となる条項
消費者契約法上,消費者に一方的に不利な内容の条項は無効となるとされており,この点にも注意が必要です。
特に注意すべきなのは,会社側の故意または重大な過失による債務不履行に基づく損害賠償責任を,一部でも免除する条項は無効とされる点です。免責規定を定めるにあたって損害賠償額の上限を定めることは多いですが,故意または重大な過失による債務不履行に基づく損害賠償責任の場合には,このような定めも無効とされてしまいます。債務不履行に基づく損害賠償の免責規定を設ける場合は,「故意または重過失による場合を除き,免責される」という内容にすべきです。
参考消費者契約法3条1項,第8条1項,第9条
経済産業省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(i.22頁~)
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