ECサイトで物やサービスを販売しています。4月1日から総額表示が義務化されたと聞きましたが、ECサイトにおいても価格表記を総額表示にすべきですか。
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1 はじめに
令和3年3月31日以前は、商品やサービスの価格表記を税抜価格にする店舗と税込価格にする店舗と両方の店舗がありました。しかし、消費者の側からすると、商品やサービスの価格の違いが分かりにくいという不都合がありました。総額表示の義務づけは、そのような不都合を解消するために導入された制度です。
本記事では、①総額表示の義務づけの根拠、②総額表示義務の内容、③総額表示義務に違反した場合にどうなるのかについて、具体例を示しながら解説します。
2 総額表示の義務づけの根拠
総額表示の義務づけの根拠は、消費税法63条です。
(価格の表示) 第六十三条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)を行う場合(専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く。)において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。
3 総額表示義務の内容
(1)総額表示とは
総額表示とは、消費税相当額(地方消費税相当額を含む)を含んだ支払総額の表示をいいます。
(2)誰が総額表示義務を負うのか
総額表示義務を負うのは、(消費税を納める義務を負う)「事業者」(消費税法63条)です。
すなわち、対面で物を販売したりサービスを提供する事業者だけでなく、ECサイトを通じて物を販売したりサービスを提供する事業者も広く含まれます。
もっとも、「専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く」(消費税法63条)と定められているので、販売先が事業者である場合には、総額表示義務を負うことはありません。
すなわち、広く消費者に向けて物やサービスを販売する事業者が、総額表示義務を負うことになります。
(3)どのような表示をすれば良いのか
総額と税抜き価格を両方記載することは問題ありません。
例えば、10000円の商品については、以下のような表記が考えられます。
11000円
11000円(税込)
11000円(税抜10000円)
10000円(税込11000円)
なお、10000円+税という表記は認められません。消費者が一目で支払金額の総額を判断できないからです。
4 総額表示義務に違反した場合にどうなるのか
消費税法上は、総額表示義務違反に対する罰則は定められていません。これは、総額表示というのは、消費者に望まれているものという性質があるので、罰則を設ける性質のものではないとの理解が前提にあるようです。
もっとも、消費者にとってわかりやすい価格表示をすることで、ECサイトの利用者増を見込むことができると考えられます。事業者としては、総額表示を適正に行うべきです。
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