英文契約書において、契約解除条項はどのように定めたらよいでしょうか。

 契約解除条項(Termination)とは、どのような場合に契約を解除できるか、解除する場合の手続などを定める条項です。

 契約期間中には、相手方が重大な契約違反をした、倒産の危機に陥ったなど、契約を解除して自社が被る不利益を最小限に抑えられるようにしておく事態が発生することも考えられます。
 また、相手方の株主構成や役員構成が変わった場合に契約を解除できるとしておくと、不測の損害を被ることを防ぐことができます。例えば、ライバル企業が相手方の大株主になった場合、当該契約を通じて自社の秘密情報がライバル企業に漏れてしまう可能性がありますが、このような事態に備え、株主構成が変わった場合には契約を解除できるとしておけば、自社の秘密情報の漏洩を未然に防ぐことができます。
 また、どのような場合に解除できるかをあらかじめ合意しておくことにより、将来契約を解除せざるを得ない事態になった場合、解除の有効性をめぐって相手方と争いになる可能性を低くする効果も期待できます。

 どのような解除事由を定めるかは契約の種類によっても異なりますが、契約違反があった場合、倒産状態に陥った場合、破産手続などの法的手続が開始された場合などを解除事由として定める例が多く見られます。

 解除の手続には、大別して、催告の上解除するパターン(催告解除)と、催告なしに解除できるとするパターン(無催告解除)があります。
 催告解除とは、相手方が契約違反をした場合、一定期間内にその違反を治癒することや契約上の義務を履行することを求める通知(例:当該通知の受領後2週間以内に債務を履行することを求める。)を出し、その一定期間内に相手方が違反を治癒しなかった場合には、解除権を行使できるとするものです。
 一方、無催告解除とは、重大な契約違反をしたなど、相手方に解除事由が生じた場合に、相手方に対して契約を解除する旨を通知するだけで解除権が行使できるとするものです。催告しても相手方がこれに応じず時間の無駄に終わる可能性が高い、または相手方が契約を継続できる状態にない一方、当該契約から早急に解放され、他の取引先と別途契約を締結するなどして自社の損害を最小限に抑えられるようにしておくべき場面において無催告解除ができるようにしておきます。代表例としては、相手方が倒産状態に陥った場合が挙げられます。

 契約当事者双方に解除権を認める例が比較的多いですが、契約の性質によっては、一方当事者の解除権についてのみ定めておけば足りる場合も考えられます。

 契約解除条項はいざという時にとても重要な条項になりますので、契約書をドラフトするにあたっては、どのような場合に解除できるのか、どのような手続が要求されるのかなどを十分検討してください。

 以下、サンプルをご紹介します。
Either party may terminate this Agreement by giving written notice to the other with immediate effect, if any one of the following events occurs:
(1) if either party fails to perform any term or condition on its part and fails to correct such failure within thirty (30) days from the date of written notice thereof from the other;
(2) if either party files a petition for bankruptcy, or a petition for bankruptcy is filed against it, or if either party becomes insolvent or adjudged bankrupt; or
(3) if control of either party is acquired by any group not in control at the date of this Agreement.
訳:以下のいずれかの事由が発生した場合、いずれの当事者も、相手方に書面で通知することにより、本契約を直ちに解除することができる。
(1)いずれかの当事者が条項または条件を遂行せず、相手方当事者からの書面による通知の日から30日以内にこれらを是正しない場合。
(2)いずれかの当事者が破産を申し立てもしくは破産を申し立てられ、または支払不能または破産に陥った場合。
(3)いずれかの当事者の支配権が、本契約締結日に支配下にないグループに取得された場合。

 上記は契約当事者双方の解除権について定めたものです。(1)は、契約違反を是正するよう書面で催告されても30日以内にこれを是正しなかった場合に解除権を行使できるとするものです(催告解除)。(2)と(3)は、倒産に陥った場合または支配権が変更されに場合に、催告なしに解除権を行使できるとするものです(無催告解除)。

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