英文契約書の契約譲渡条項(Assignment)は一般にどのように定められるのでしょうか。
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契約譲渡条項(Assignment)とは、契約の譲渡を認めるかどうか、認める場合の条件などを定める条項です。
相手方に契約を履行する能力があるかどうか、誠実に契約を履行してくれるかどうかなど、相手方が有している資質は、誰を相手方として契約を締結するかを決定する際の重要なポイントのひとつとなります。また、相手方の所在地がどこかによって、契約を履行するために自社が負担しなくてはならないコストが変わってくることも考えられます。それにもかかわらず、相手方が自由に契約を譲渡できるという内容で契約を締結してしまうと、十分な能力がない者に契約が譲渡されてしまい、譲受人が契約上の義務を十分に履行しなかった結果、債務不履行となり、損害賠償を請求しなくてはならない、または契約を解除しなくてはならないといった事態を招く危険があります。また、万が一、契約を譲り受けた者が自社のライバル企業であった場合、思いがけない形で自社の秘密情報がライバル企業に漏れてしまうことも考えられます。
一方、契約期間が長期に及ぶ場合などには、契約を譲渡できる余地を残し、契約当事者の変更がスムーズにできるようにしておいたほうがよい場合も考えられます。
契約書をドラフトするにあたっては、その契約の性質を考え、契約譲渡についてどのように定めておくことが自社の権利保護のために最適かを検討します。検討するにあたってのポイントは、(1)契約の譲渡を認めるかどうか、(2)契約の譲渡を認める場合はどのような条件を設定するか(自由に譲渡することを認める、相手方の承諾を必要とする等)です。
(1)契約の譲渡を認めるかどうか
相手方の資質を信頼して契約を締結しようとする場合、例えば、営業能力が高いことを評価して締結する販売代理店契約、相手方の技術力の高さや納期を厳守する姿勢を評価して締結するシステム開発契約などでは、契約の相手方がその企業・その個人であることに重要な意味があるので、契約を自由に譲渡できるという内容にすべきではないことになります。
(2)契約を譲渡する条件
契約の譲渡を認める場合の条件としては、自由な譲渡を許す、相手方の承諾を得た場合のみ譲渡を可能とする、相手方の承諾を条件とするものの、相手方は合理的な理由がなければ承諾を拒否することができない等、多様なものが考えられます。
また、契約の譲渡の条件を契約当事者の一方のみにつけること考えられますし、原則として契約の譲渡を禁止するものの、親会社と子会社との間での譲渡は例外的に自由とするというケースも考えられます。以下、いくつかサンプルをご紹介します。
This Agreement may be assigned without the consent by the other party.
訳:本契約は、相手方の同意なく譲渡することができる。
これは自由な契約の譲渡を認めるパターンです。This Agreement may not be assigned without the prior written consent by the other party. Any assignment without such consent shall be null and void.
訳:本契約は、相手方の書面による事前の同意がなければ譲渡できない。かかる同意なしに行われた譲渡は無効とする。
これはもっとも一般的な規定で、契約の譲渡には相手方の書面による事前の同意を必要とするものです。契約の譲渡を原則として禁止し、相手方から契約の譲渡の申し出があった場合に、具体的な譲渡先や条件等をよく検討し、契約の譲渡を認めるかどうかを決定できるようにしています。また、同意は口頭でも可能ですが、後日、同意の有無を巡って紛争に発展することを予防するため、相手方の同意は書面という形で残すという条件にしています。This Agreement may be assigned to any wholly owned subsidiary by giving its written notice to the other party.
訳:本契約は、相手方に書面にて通知することにより、完全子会社に譲渡することができる。
相手方に書面で通知することにより、完全子会社への契約の譲渡を許すというパターンです。
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