運営会社も、他人の商標権を侵害したとして、損害賠償責任を負う場合があります。
解説
過去の裁判例では、次の4つにあてはまる場合にはウェブサイト運営者も商標権侵害の責任を負うとしています。
- 運営者が、ウェブサイト環境の整備だけでなく、運営システムを提供したり、出店者からの出店申し込みを審査したり、場合によっては出店者へのサービスを一時停止、出店停止したりするなどの管理・支配を行っていること
- 出店者から基本出店料やシステム利用料を受け取るなどの利益を受けていること
- 運営者が、出店者による商標権侵害の事実を知っていたか、知ることができたこと
- 商標権侵害の事実を知ってから、合理的期間内に侵害内容のウェブページを削除しなかったこと
出店者が商標の使用権をもっている場合もありますから、他人の商標を使用していることだけで、その出店者が商標権を侵害していると確定するわけではありません。ですから、ウェブサイト運営者が、商標権侵害の事実ありと判断することはそう簡単ではありません。
しかし、ウェブサイト運営者が商標権の権利者から抗議を受けているような場合には、調査をして、商標権侵害の事実を知ることができたといえますので、それにもかかわらずウェブページの削除を行わなかった場合には、責任を問われることになります。
ウェブページを削除すべき「合理的期間」がどの程度かははっきりとしませんが、裁判例では、商標権侵害の事実を知ってから8日以内に削除したものを合理的期間内であると判断しています。
ウェブサイト運営者は、商標権侵害のリスクをできる限り回避するため、出店者が商標権を侵害するおそれがあると判断した場合には、運営者においてウェブページを削除できるよう、その旨あらかじめ契約条項で定めておくとよいでしょう。
参考
知的財産高等裁判所平成24年2月14日判決-チュッパチャプス事件