当社が委託を受けたプログラム開発を下請業者に再委託しようとしたところ,下請法の適用があると言われました。この場合,どのような点に注意すべきでしょうか。
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契約を締結する際、特に次の3点に注意してください。
1 著作権等の権利関係の明記
2 下請代金の支払日
3 成果物の受領拒否解説
1 著作権等の権利関係の明記
まず下請法では,御社から下請業者への発注の際に下請業者に対して再委託契約に基づく給付内容,代金額やその支払期日及び方法等を記載した書面を交付しなければなりません(下請法3条1項)。そしてプログラム開発の場合には完成したプログラムの著作権の譲渡や利用許諾も再委託契約の内容となると思われますので,著作権の権利関係についてもこの書面に明記しておかなければなりません。
なお下請代金額の決定にあたっては,著作権の譲渡代金・利用許諾料をふまえた金額としなければ,下請法の禁止する「買いたたき」(下請法4条1項5号)にあたる可能性もあります。2 下請代金の支払日
下請業者に対する代金の支払いは,給付を受領した日(つまり下請業者が作成したプログラムを御社の支配下に置いた日)から60日以内に行わなければなりません(下請法2条の2第1項)。
なお「給付を受領した日」がいつかということについて,プログラム開発では開発途中にプログラムの出来を確認する場合もありますから,あらかじめ下請業者との間で「注文品の内容が,仕様書等一定の水準に適合していることを確認した時点で受領とする」ことを合意することはできます。3 成果物の受領拒否
下請業者の責めに帰すべき事由がないのに,御社が費用を負担しないで,当初の委託内容を変更したり,納品後に成果物を作り直させたりすることは,下請法の禁止する「受領拒否」(下請法4条1項1号)にあたります。御社に対して注文を行った御社の顧客から、急なキャンセル・仕様変更があっても、その負担を下請業者に転嫁することは許されないので、御社の顧客との間で適切にプロジェクト・マネジメントを行うべきです。参考
公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」
経済産業省「情報サービス・ソフトウェア産業における下請適正取引等の推進のためのガイドライン」