〔5.設立登記申請を行う〕株式会社の設立登記申請に必要な書類と手続を教えてください。

 発起人(1人)がそのまま設立時取締役(1人)となる発起設立の場合の必要書類は、以下のとおりです。

    • 株式会社設立登記申請書
    • 添付資料(1)定款謄本
    • 添付資料(2)払込証明書
    • 添付資料(3)本店所在場所決定書
    • 添付資料(4)就任承諾書
    • 添付資料(5)印鑑証明書
    • 添付資料(6)「登記すべき事項」を記録したCD-R

 以上の書類と登録免許税分の収入印紙を用意して、管轄法務局に持参または郵送して申請書を提出することで、登記申請手続を行います。
 設立登記申請と同時に、会社代表者印の印鑑届も行います。

解説

 以下は、発起人(1人)がそのまま設立時取締役(1人)となる発起設立の場合の必要書類について説明します。

添付書類の作成

 まず、添付書類をすべて完成させます。

添付資料(1)定款謄本
添付書類(2)払込証明書

 この2つは既に作成済みです。

添付資料(3)本店所在場所決定書

 会社の本店所在場所を決定する書面です。会社書式「本店所在場所決定書」をご利用ください。
 定款には「〇〇県〇〇市」までしか定めていませんでしたので、あらためて丁目や番地までを含む正確な住所を決定しなければならないのです(逆に、定款で丁目・番地まで定めていた場合には、「本店所在場所決定書」は不要です。)。
 作成日付は、定款認証日よりも後の日でなければなりません。

 本店所在場所がマンションの1室である場合などに、マンションの名前や部屋番号まで記載するかどうかという問題があります。法律上は、マンション名などを記載するかどうかは任意ですが、現実的な問題として、郵便物がきちんと届くかどうかという点を考慮して判断するとよいと思います。

 なお、発起人が複数いる場合は、発起人全員で本店所在場所を協議し、「本店所在場所決議書」を作成することとなります。

添付資料(4)就任承諾書

 新会社設立時の取締役に就任する者が、その就任を承諾したことを新会社に対して示すための書面です。会社書式「設立時取締役就任承諾書」をご利用ください。
 設立時取締役に就任する者が自己の住所および氏名を記入し、個人の実印で押印します。住所および氏名の記載は、印鑑証明書の記載と一致しなければなりません。
 作成日付は、定款認証日よりも後の日でなければなりません。

添付書類(5)印鑑証明書

 新会社の設立時取締役に就任する者の個人の実印の印鑑証明書です。
 これは、就任承諾書の押印の正確性を担保するために、その印鑑証明書を添付するものです。

添付資料(6)「登記すべき事項」を記録したCD-R

 登記事項として法務局のデータベースに入力される情報を、テキストファイル(「〇〇〇.txt」)で作成してCD-Rに記録します。このテキストファイルの情報が、そのまま登記事項として登記されます。テキストファイルの作成には、Windowsの「メモ帳」など、シンプルなものを使用するとよいでしょう。会社書式「登記すべき事項」をご利用ください。

 作成にあたっては、以下の点に注意して下さい。
 ・すべて全角文字で記載すること(商号も、URLアドレスも、すべて大文字です)
 ・タブ機能は使わないこと(文字間隔をとりたい場合は、全角スペースを入力します)
 ・同時に複数の会社設立申請をする場合でも、1社分ずつCD-Rを作成すること
 ・CD-Rの表面には設立申請する新会社の商号を書いておくこと

 なお、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を使用してオンラインで情報を送信することも可能です。

参考:法務省「商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した磁気ディスクの提出について

株式会社設立登記申請書の作成

 株式会社設立登記申請を行う書面です。会社書式「株式会社設立登記申請書をご利用ください。

商号
 定款で定めた商号を記載します。

本店
 本店所在場所決定書で定めた本店所在場所の住所を記載します。

登記の事由
 「平成〇〇年〇〇月〇〇日発起設立の手続終了」と記載します。
 日付は株式会社設立登記申請の準備がすべて完了した日を入れますので、「払込証明書」などの添付書類作成日付よりも後の日付でなければなりません。

登記すべき事項
 先に作成したCD-Rに記録してありますので、「別添CD-Rのとおり」とします。

課税標準金額
 新会社の資本金の額を記載します。

登録免許税
 資本金の額の1000分の7の金額(ただし最低15万円)を記載します。
 計算上、資本金の額が2142万円までであれば、登録免許税は15万円です。

添付書類
 申請書に添付する書類の一覧を記載します。

末尾

平成〇〇年〇〇月〇〇日※1

     〇〇県〇〇市〇〇〇丁目〇〇番地※2
     申 請 人  株式会社〇〇〇※3
     〇〇都〇〇区〇〇町〇〇※4
     代表取締役  〇 〇 〇 〇※5
     電話番号      -   -   ※6

 〇〇法務局〇〇出張所 御中※7

※1 申請時に書き込むこととして空欄にしておいてもよいでしょう。
※2 会社の本店所在場所の住所です。
※3 会社の商号です。
※4 代表取締役となる方の個人の住所です。
※5 代表取締役となる方の氏名です。
※6 代表取締役となる方の電話番号です。
※7 提出先の法務局名です。

押印は、会社代表者印で行います。
代表取締役の氏名の右側に押印し、その他の場所に捨印を押します。
(書式では、代表取締役の氏名の右側が通常の押印、左側が捨印としています)
電話番号は、提出書類に不備があったときに法務局登記官が連絡するためのものです。

収入印紙
 株式会社設立登記申請書の続きに、登録免許税分の収入印紙を貼り付ける台紙を作成します。
 収入印紙は、提出先法務局でも購入することができます。消印はしないでください。

登記申請書と収入印紙台紙は、まとめてホチキスで留めて契印(ページの綴り目に押印すること)します。契印は、登記申請書に押印した会社代表者印で行います。

設立登記申請手続

 以上の書類およびCD-Rを、管轄法務局に持参または郵送して申請を行います。
 このとき同時に、会社代表者印の届書(印鑑届書)も提出します。

 提出し終えると、受付番号と登記完了予定日が伝えられます。
 法務局の混雑具合にもよりますが、登記完了予定日は受付日から約1週間後です。

 ちなみに、新会社の登記事項書の「会社成立の年月日」欄に記載される日付は、設立登記申請受付日の日付です。法務局に持参した場合はその日が受付日となりますが、郵送の場合は書類一式が法務局に到着した日が受付日になります。会社成立の日を特定の日付にしたい場合は、書類一式を持参して申請を受け付けてもらった方がよいでしょう。

 申請が受け付けられ、なんら不備がなければ登記完了予定日には登記手続が完了します。しかし、提出書類に不備が見つかった場合は、法務局から訂正(補正)を求める連絡がありますので、それに従い補正を行う必要があります。

 提出書類に不備がなく、または補正をすべて終えると、設立登記が完了します。
 法務局からは、登記完了の通知連絡はありませんので、自分から電話で完了したかどうかを確認するとよいでしょう。

Category:会社法 , 設立

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