当社は、ウェブ上で独自の電子マネー(バーチャルマネー)を発行し、これを流通させ、ウェブ上の各種店舗でその電子マネーを利用して買物ができるというビジネスモデルを検討しています。どのような法的規制を受けるでしょうか。

検討しているビジネスモデルに応じて、資金決済法上の「第三者型発行者」又は「資金移動業者」として内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。

解説

1 「第三者型発行者」か「資金移動業者」か。

 検討しているビジネスモデルでは、多くのウェブ上の店舗(ここでは「加盟店」と呼びます。)での利用が想定されていますが、加盟店が商品の売上によって得た電子マネーを現金に換金することができるかどうか、又は電子マネーを購入したお客様が再度電子マネーを現金に払戻しすることができるかどうかによって、「第三者型発行者」なのか「資金移動業者」なのかが判断されます。つまり、電子マネーを換金して現金を引き出すことができれば「資金移動業者」、現金を引き出すことができず、得た電子マネーをウェブ上での利用のみに留める場合には「第三者型発行者」となります。

2 「第三者型発行者」に対する法的規制

 まず、「第三者型発行者」として登録するためには、貸借対照表上の純資産額が原則として1億円以上であることが求められます。それ以外にも、加盟店を適切に管理するために必要な体制の整備、法令順守態勢の整備、反社会的勢力への対応、システム管理体制の整備などのかなり厳格な要件をクリアしなければ登録が認められません。
 また、登録後は、流通している電子マネーの残高が1000万円を超える場合、その2分の1の金額を供託しなければなりません。

3 「資金移動業者」に対する法的規制

 「資金移動業者」の登録については、「第三者型発行者」における1億円の純資産のような画一的な財産的基準は定められていませんので、比較的小規模な企業でも登録が可能となっています。しかしながら、その財産的基礎について相応の厳格な審査がなされることになっています。それ以外に、各種体制の整備が求められることは、「第三者型発行者」の場合と同様で、それに加え、犯罪収益移転防止法(マネーロンダリングを防止するための法律)に基づく利用者確認等が求められます。
 さらに、登録後は、流通している電子マネー残高の全額以上の金額(最低額1000万円)を供託しなければなりません。

4 まとめ

「第三者型発行者」又は「資金移動業者」のいずれにせよ、登録にはかなり厳格な要件が課されています。しかしながら、上記した体制の整備すべてが整ってさえいれば、審査を担当する財務局は登録を拒否することはできないことになっています。入念に準備したうえで登録申請を行うべきでしょう。(藤武)

Category:決済サービス , 電子マネー

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