- 当社の執行役員が問題行動をしているため、任期途中に解任するか、再任しないことを考えています。このような取扱いをすることに法律上の問題はないでしょうか。
執行役員が労働者にあたると判断されると、厳格な要件をみたさなければ解任や不更新処分が無効となるおそれがあります(労働契約法17条1項、19条)。また、退職金が支給されるかも問題となるおそれがあります。
解説
執行役員(意義については別のQ&A参照)が労働者か受任者かについては、法律上定まっておらず、具体的契約内容によってその取扱いが異なります。
当該執行役員が労働者にあたると判断されると、「任期途中の解任」「任期満了時の不更新」における取扱いが問題となります(※)。「任期途中の解任」は、労働法上「有期労働契約の期間途中の解雇」と取り扱われます。
この場合、会社は「やむを得ない事由」がなければ解雇することができなくなります(労働契約法17条1項)。この要件は、通常の解雇の要件(労働契約法16条1項)より厳しい要件であると考えられていますので、任期途中の解任は難しくなります。一方、「任期満了時の不更新」は、労働法上「雇止め」にあたる可能性があり、会社は客観的合理的理由、社会的相当性がなければ不更新ができません(労働契約法19条。詳しくは別のQ&A参照)。
労働者か受任者かの判断基準を端的にいえば、代表取締役等の指揮命令下で業務執行に従事していれば労働者(多くの執行役員はこのように判断されます)、そうでなければ受任者です。
そのため、執行役員を辞めさせる際には、契約書・執行役員規程や実際の業務内容等から、当該執行役員が労働者にあたるかを検討する必要があります。※ ただし、執行役員を正社員の役職の一つとしている場合は、その任期は役職の担当期間という
扱いにすぎないので、これにあてはまりません。
- 【共益債権】取引先が民事再生手続を申し立てました。会社再建のために引き続き取引をして欲しいと言わ...
- 【ECサイト】当社はウェブサイトを通じてアプリを提供しています。お客様からの利用申込みにあたって、...
- 【役員の責任追及】当社の取引先は、代表取締役の不正な取引により被った多大な損失が原因で、民事再生手続に...
- 【倒産解除条項】当社は工作機械のメーカーですが、先日当社の顧客が民事再生手続開始の申立てをしました。...
- 【労働契約】当社では、有期契約社員の更新をしない予定でしたが、「雇止め」で無効となる可能性が高い...
- 【契約書】当社ウェブサイトのSEO対策を委託する場合に,注意すべきことはありますか。
- 【クラウド】当社は企業向けにクラウドサービスを提供しています。利用者が当社のサービスを利用して個...
- 【情報管理】当社のライバル会社が、当社の製品を購入して分解してその仕組みを調べ上げ、同等の性能を...
- 【執行役員】当社は執行役員制度を導入しようと考えていますが、執行役員規程を定める際に注意した方が...
- 【否認権】当社は、取引先が民事再生手続の申し立てをする直前に、同取引先が有していた売掛債権を譲...
- 【債権調査】当社は、民事再生手続に入った取引先の債権について届出を行いました。同手続では、当社が...
- 【個人再生】当社が売掛債権を有している個人が小規模個人再生手続に入りました。小規模個人再生手続は...
- 【債権届出書の作成、届出】当社が売掛債権を有する取引先が民事再生手続に入り、裁判所から債権届出書が送られてきま...
- 【別除権者の手続参加】当社の取引先は民事再生を申し立てました。当社はこの取引先に売掛債権を有しており、当該...
- 【財産評定】民事再生手続においては,再生債務者の財産の価額評定はどういった基準で行われ,再生債権...