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創業株主間契約書

この書類はあくまで”ひな形”なので、個々の案件毎に、
とくに盛り込みたい条項や不明点がある場合は、当事務所にご相談ください。
契約書 会社関係

創業者間契約における実務上の注意点

起業当初は、同じ志を胸に力を合わせて歩み出した創業者たちも、時間の経過とともに価値観や目指す方向が少しずつ変化していくことは避けられません。これは自然な現象であり、非難すべきものではありません。しかし、それぞれの創業者の立場や未来像が変わったときに備え、あらかじめ適切なルールを定めておくことは、組織の持続的成長にとって重要です。 創業者間契約は、信頼関係を疑うためのものではなく、変化の可能性を前提に、各創業者の利害を合理的に調整し、共通の土台を築くための制度です。 以下、契約締結に際して特に留意すべきポイントを整理します。

1 信頼関係が良好なうちに締結すること どれほど親密な関係であっても、将来の対立の可能性を排除することはできません。信頼関係が維持されている創業初期の段階で創業者間契約を締結しておくべきです。

2 退職創業者の株式買取制度の整備 退職後も創業者が株式を保有し続けると、会社の成長に貢献しないにもかかわらず、会社の成果の恩恵(アップサイド)を受け続けることになります。これにより、会社に残った者のモチベーション低下を招く恐れがあるため、退職時には株式を会社や他の創業者が買い取れる仕組みを必ず整備しておく必要があります。

 3 相続リスクへの対応 創業者が死亡した場合、その相続人が議決権を取得するリスクを避けるため、相続時には株式を他の創業者や会社が買い取れる仕組み(売渡請求権)を設けるべきです。

 4 資本政策と持株比率調整ルールの設定 将来的な増資や新規株主の受け入れを見据え、持株比率が意図せず大きく変動しないようにするため、あらかじめ持株比率の調整ルールを設けておくことが重要です。

5 無断譲渡の防止 創業者が無断で第三者に株式を譲渡することにより、経営権が意図せず移動してしまうリスクを防ぐため、譲渡制限条項を契約に明記しておくべきです。

6 株式買取価格のルール明確化 株式の買い取り時に、額面、出資額、時価などを基準に価格を設定する方法を明確に定めておくことが不可欠です。価格の基準を曖昧にしておくと、後日の大きな紛争の火種になります。

7 競業避止条項の設定 退職した共同創業者が、従業員を引き抜き、競業行為に及ぶ事例は少なくありません。このリスクに備えるため、競業避止義務に関する条項を設けるべきですが、一方で、退職者の営業の自由にも配慮し、必要最小限度の合理的な制限とすることが求められます(さもなくば無効と判断されるリスクがあります)。

8 事業売却時の対応(ドラッグアロング・タグアロング条項) 将来、会社のエグジットとしてM&A等により事業売却を検討する場面に備え、創業者間で売却方針の協議が整わなかったときに最終的な処理方法を定めるドラッグアロング条項(強制売却権)、タグアロング条項(共同売却権)を設けておくべきです。

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