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Clair Law firm ニュースレター vol.195

ニュースレター(アーカイブ)

1 成功可能性を高める共同創業者の選び方

 チーム起業を考える起業家にとって、共同創業者選びは大きな問題です。どのような相手を共同創業者とすべきなのでしょうか。Founder Instituteが考える成功するチーム作りの法則を紹介します。 

2 スタートアップ向け人事システム構築のための6つのステップ

 スタートアップの急速な拡大はすさまじく、創業時には2、3人の従業員からはじまるのが通常ですが、わずか3か月で30人にもなることもあります。そのため、早期に人事システムを構築することは、スタートアップ・ビジネスのスピードを止めないために大事な要素といえます。今回は、スタートアップ向け人事システム構築のための6つのステップを紹介します。

3 弁護士Blog情報

 所属弁護士による最近のBlog情報を紹介します。

1 成功可能性を高める共同創業者の選び方

 チームでの起業を考えている者にとって、誰と起業するかは大きな問題です。共同創業者の関係になるというのは、婚姻関係を結ぶように、それまでと全く異なる関係になるということです。はじめは「心の友」と呼べるほどうまくいっていた相手とも、最終的には権力闘争を行うことになるかもしれません。では、どのような相手を共同創業者とすべきなのでしょうか。

 Founder Instituteでは、流動的知性、開放性、協調性、情緒安定性といったいくつかの特性をもとに、起業家を6つのタイプに分析しました。そして結論としては、これらのうち異なるタイプの者同士が共同創業者となったほうが、より成功する可能性が高いことが分かりました。

 起業家の6タイプは、以下のとおりです。

タイプ1:ハスラー

 ハスラーは凄腕です。社交的、かつ信頼感あふれる存在で、モノを売り込むのが得意です。

タイプ2:イノベーター

 イノベーターは冒険的で、前向きな姿勢の持ち主です。過去を検証して、新しいものを探求します。

タイプ3:マシーン

 マシーンは、強い責任感と問題解決能力を有しており、常にスケジュールどおりにプロダクトを完成させます。

タイプ4:プロデジー

 プロデジーは、天性のビジネス感覚と才能に恵まれています。あらゆる側面からビジネスを支え、困難を解決に導きます。

タイプ5:ストラテジスト

 ストラテジストは、創造的かつ戦術的な戦略家です。つねに効果的かつ効率的な戦略プランを導き出します。

タイプ6:ビジョナリー

 ビジョナリーは、常に新しく革新的なアイデアに目を向けています。そして、それを現実の行動に取り入れる新しい方法を考え出します。

 著名な起業家らが、共同創業者となるに至った例をいくつか紹介します。 

  •  Google(マウンテンビュー・1998)
  •  セルゲイ・ブリン タイプ:マシーン
  •  ラリー・ペイジ タイプ:プロデジー

 2人は、スタンフォード大学大学院在学中の1996年、同じ研究プロジェクトに参加して出会いました。最初のミーティングでのお互いの印象は良くなかったそうです。記事によればペイジは「セルゲイは、かなり気に障るやつだった。彼は物事について、非常に強い意見をもっていたからだ。そしておそらく、自分もそうだったのだと思う。」と述べています。ブリンもこれに同意し、さらに「それでも2人でずっと話をして過ごしていたのだから、そこには何かあったのだと思う。」とも述べています。

 そして2人は、インターネットの数学的性質を追及するというパッションを共有します。当初プロジェクトの方針が一致していなかった2人でしたが、次第に、ウェブ上の情報をオーガナイズするという驚くべきタスクを遂行するというところに行き着きました。いくつかの成功を収めた2人は一時会社を売却することを検討しますが、Googleの方針を共有しない者へ会社を売却することはしませんでした。

 今では、ラリー・ペイジはなおGoogleのCEOの地位にあり、セルゲイ・ブリンはGoogleXのマネージャーとして新プロジェクトへの投資と調査を行っています。 

  •  Paypal(パロアルト・1998)
  •  イーロン・マスク タイプ:プロデジー
  •  ピーター・ティール タイプ:ビジョナリー

 Paypalの創業者イーロン・マスクとピーター・ティールは、多様なバックグラウンドをもっています。

 イーロン・マスクは、南アフリカのプレトリアで生まれ、トロントに移ったあと、最後は米国に移住しました。ペンシルバニア大学では経済学と物理学の学位を取得しています。在学中、彼は、10部屋のアパートで、後のFI創業者のアデオ・レッシらとともに非公式ナイトクラブを立ち上げました。

 ピーター・ティールは、西ドイツのフランクフルトで生まれました。ティールは米国に移住しスタンフォード大学にて、哲学(学士)と法学(法務博士)の学位を取得しました。また在学中には「スタンフォード・レビュー」を設立しています。

 大学卒業後の1995年、マスクはスタンフォードで物理学を学ぶためカリフォルニアに移りますが、すぐに辞め、再生可能エネルギー、宇宙、そしてインターネットのベンチャーに取り組みます。ティールは、スタンフォード大学での研究を終えると、世界中の取引処理を容易にするという夢を追求します。ティールが1998年に最初の事業「Confinity」を立ち上げた際、マスクはそれに似たオンライン金融およびEメール決済サービスのプロジェクト「X.com」を進めていました。そして2人は互いの存在を知って、事業を統合するに至り、会社をPaypalと名づけました。はじめマスクがCEOの地位に就きましたが、のちにCEOの座をティールに譲り、マスクは会長の地位に就きました。

 Paypalの成功の後、マスクとティールは、それぞれ別の会社に分かれました。マスクはテスラ社にて再生可能エネルギー事業を進め、ティールはPalantir社で再びソフトウェア・サービスの仕事を始めました。2人はもう一緒に仕事をしてはいませんが、お互いを肯定しています。記事によれば、ティールは、マスクについて、「マスクは、賢く、カリスマで、信じられないくらい行動力があるという、いくつもの特質を兼ね備える珍しい存在だ。」と述べています。 

 下記ウェブサイトでは、他にも3つの会社の共同創業者らについて紹介されています。これらはチームの力がいかに大きいかを実証する良い例です。自分と異なる能力、性格、バックグランド等をもつ人をチームに入れ、成功可能性の高いチーム作りを行いましょう(木村)。 

〈参考〉
Till Death Do Us Part - Secrets of the Most Successful Founding Teams
http://fi.co/posts/16441

2 スタートアップ向け人事システム構築のための6つのステップ 

 スタートアップの急速な拡大はすさまじく、創業時には2、3人の従業員からはじまるのが通常ですが、わずか3か月で30人にもなることもあります。ファウンダーが直接コントロールできないほどの新入社員の採用を行う前に、従業員のデータやニーズを管理するため、人事システムを構築しておきたいところです。今回は、スタートアップ向け人事システム構築のための6つのステップを紹介します。

ステップ1:従業員配置の計画を作る

 従業員配置のニーズを決断することは、限られた人材の中から、最善の配置を考え出すという作業であり、非常に困難なものです。

 従業員配置の計画を作成する際、以下の3点を自問自答するとよいでしょう。

  • どのポジションを補充する必要があるか?
  • そのポジションにいくらの給料を支払うか?
  • 何人の従業員を受け入れる余裕があるか?

ステップ2:職務紹介を作成する

 採用活動を行う前提として、職務紹介の作成が必要です。職務紹介とは、自社が行っている仕事について職務上の地位を割り当てて、それぞれの職務の責任やガイドラインを用意し、その職務上の地位が自社の組織図の中でどこに位置付けられているのかを決定することを意味します。

ステップ3:リクルーティングの戦略を構築する

 職場会議、大学のキャンパス、外部のリクルーター、内部の紹介者、地域ネットワークのイベント等、採用のための選択肢は無限にあるようにみえます。

 最適な人材をリクルーティングするため、予算を決定し、また、どのような候補者リストを作成すべきか、当該リスト内の誰に照準を合わせるかを明らかにすることで、有意義で最善の採用ルートを見つけることができるでしょう。

ステップ4:採用応募者追跡システム(ATS)を実施する

 採用応募者追跡システム(Applicant Tracking System、ATS)とは、採用プロセスを管理するアプリケーションのことです。これは、日本ではまだ浸透していないように思われます。

 採用応募者追跡ソフトを使えば、応募者の流れを分類し、追跡し、比較することができ、 どの採用方法が最適なROIを生み出すか、容易に確かめることができるとのことです。導入を検討してみてはいかがでしょうか。

ステップ5:従業員管理の計画を行う

 人事システムの機能は、2つあります。1つは新入社員の採用、もう1つは採用後の従業員管理です。

 リクルーティングのシステムが定まった後は、タイムカードその他の労働時間管理システム、休暇願、手当の支給、業績評価、および従業員の要望/コミュニケーションの管理方法についてのプロセス構築が必要となるでしょう。

ステップ6:従業員の入れ替わりに向けた準備を行う

 統計上、若い従業員の離職・転職は避けられませんので、その準備が必要です。退職や配置転換を呼びかけるプランを作成する際には、以下の問題を検討しましょう。

  • 退職者への面談を行うか?
  • 退職までの予告期間をどのくらいにするか?
  • 該当するポジションは自動的に埋まるか?
  • 新入社員が入る前に、該当するポジションは評価されるか、やり直しか?
  • 欠員は内部者から優先して補充されるか?

 まとめると、人事システムの構築の際には、以下の課題を解決する必要があります。

  • 充足する必要のある役職は何か
  • 当該役職の最良の候補者を募集する方法は何か
  • 組織に貢献できるように仕事を最適化するための従業員の管理の方法

 早期の段階で人事システムを構築しておくことにより、スタートアップの成功に一歩近づくことができます。人事システムの構築も重要な戦略の1つとして十分検討すべきでしょう(柳田)。

〈参考〉
Six Steps to Creating a Hiring Process for Your Startup
http://fi.co/posts/16241

3 弁護士Blog情報

 ファウンダーインスティテュート東京のセッション マーケティングとブランディング(古田利雄)
 https://www.clairlaw.jp/blog/toshiofuruta/2015/08/5-branding-and.html

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