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Clair Law firm ニュースレター vol.193

ニュースレター(アーカイブ)

1 顧客は誰?―顧客を定義するための5つの質問

 製品・サービスを売るためには、当然、顧客の存在が不可欠です。当該製品・サービスが顧客のニーズに応え、顧客の問題解決の一助となるためには、顧客ターゲットを明確に絞る必要があります。今回は、FIサンフランシスコのディレクターであるBen Larson氏が解説する、顧客の定義の前提、また顧客を定義するための5つの質問を紹介します。

2 失敗しない顧客インタビューの方法

 あなたが考えたビジネスアイデアは、真に顧客のニーズを掴んでいるでしょうか?優れた製品・サービスの開発には顧客インタビューが不可欠です。今回は、FIメンターのJustin Wilcox氏が解説する、失敗しない顧客インタビューの方法を紹介します。

3 弁護士Blog情報

 所属弁護士による最近のBlog情報を紹介します。


1 顧客は誰?―顧客を定義するための5つの質問

 起業家が共通して初期に陥る失敗のうち、大きなものの1つに、自己の顧客を適切に定義できないというものがあります。

 製品・サービスを売るためには、当然、顧客の存在が不可欠です。当該製品・サービスが顧客のニーズに応え、顧客の問題解決の一助となるためには、顧客ターゲットを明確に絞る必要があります。また、顧客の定義は、ランディングページにおけるデザインやメッセージ、投資家向けのピッチの構成、将来のチームメンバーへ説得的に自社のストーリーを伝える方法といった、自社の全性格の決定においても重要です。

 そのため、顧客の定義はとても重要なのです。

 ただここで注意すべき点があります。FIのCEOであるAdeo Ressi氏は、しばしばこう言います。「顧客とは、架空の存在ではありません。」「あなたは(企業・団体ではなく)『人』に売るのです。」と。

 FIサンフランシスコのディレクターであるBen Larson氏は、顧客を定義する際、まずは「顧客に共感する」という単純なアプローチで行うよう述べています。あなたが誰に売ろうとしているのか、また顧客のニーズや制約条件とは何かを理解しようとすることが成功の第一歩となります。

 

 そして、彼は、「顧客に共感する」という正しい考え方に導く、顧客の定義のための5つの質問を紹介しています。

問1 顧客は何歳?

問2 顧客の性別は?

問3 顧客の役職や就業状況は?

問4 顧客がいつこの製品・サービスを使いますか?

問5 顧客の具体的情報は?

 

問1 顧客は何歳?

 ターゲット市場における顧客の平均年齢を知っておくことは、顧客との接触や対話の機会をもたらします。あなたのすべき活動、具体的には、活用するソーシャルメディアのチャネルや、連携する関連サービス・アプリケーションなども、ターゲット顧客の年齢によって使い分けるとよいでしょう。

 

問2 顧客の性別は?

 年齢と同様、性別は顧客との交流の仕方を考える際に大きな要素となります。ある製品・サービスを性別に特化するといったことを行うと、あなたの製品・サービスのデザインやブランドに大きなインパクトを与えることとなるでしょう。

 

問3 顧客の役職や就業状況は?

 顧客の役職や就業状況は、顧客を理解しようとする際にやっかいな要素となります。

 ただ、その顧客が日々達成しようとしているものは何か?誰の心を動かそうとしているか?内勤か外勤か?といった要因は、その顧客の人生におけるあなたの製品・サービスの役割を理解する一助となるでしょう。

 

問4 顧客がいつこの製品・サービスを使いますか?

 顧客があなたの製品・サービスを決まった時間に使うのか、気分によって使うのかどうかという点は、あなたの製品・サービスが利用される時・活動に大きな影響を与えるでしょう。

 

問5 顧客の具体的情報は?

 「顧客の名前は?」「どこに住んでいる?」「出身はどこ?」「どんな種類の音楽を聴く?」「子供はいる?」といったことは、顧客の具体的な人物像に少し踏み込んだ内容ですが、もしこれらのことが分かっているのであれば、製品を作り上げ提供していく相手に対してもっと近づいていくべきです。

 

 以上の質問のポイントは、「顧客に共感する」、すなわち、あなたが顧客のために製品・サービスを作るということを常に意識すべきということです。

 しっかりと顧客の定義ができれば、強固な製品ロードマップの作成を通じたよりよい提供体制の構築が可能になり、また、様々なステークホルダーに売り込むことができ、より成功に近づくことができるでしょう。

 そのためにはまず、この5つの質問を自分自身に投げかけてみてはいかがでしょうか(柳田)。

 

〈参考〉

 Customer Definition: Customers Are People Too

 http://fi.co/posts/14481


2 失敗しない顧客インタビューの方法

 あなたが考えたビジネスアイデアは、真に顧客のニーズを掴んでいるでしょうか?

 優れた製品・サービスの開発には顧客インタビューが不可欠です。今回は、FIメンターのJustin Wilcox氏が解説する、失敗しない顧客インタビューの方法を紹介します。

 

 まず彼は、顧客インタビューでやってはいけない2つの質問例を挙げています。

 

(1)自分のアイデアを話すこと

 インタビューの中で自分のビジネスアイデアを話してしまうと、どうしても「そのアイデアがいかに素晴らしいか」という観点で話をしてしまいます。顧客もそれに迎合して回答してしまうので、正しいインタビュー結果を得ることができなくなるのです。

 

(2)仮定や推測を尋ねること

 インタビューでは、仮定の話や推測の話を尋ねてはいけません。「もし◯◯という製品があったら、それを使うでしょうか?」「◯◯という製品があれば、いくらのお金を支払うでしょうか?」といった質問はNGです。

 

 次に彼は、顧客インタビューの基本となる5つの質問例を紹介しています。

問1 (あなたが抱える問題の中で)一番困っていることは何ですか?

問2 最近その問題に直面したときのことを教えてくれますか?

問3 どうしてそれが問題なのですか?

問4 その問題に対する解決策は、もう見つかりましたか?

問5 今ある解決策について、不満に思う点はありますか?

 

問1 (あなたが抱える問題の中で)一番困っていることは何ですか?

 この質問の仕方にはコツがいります。ポイントは解決すべき問題を特定しすぎないことです。具体的には、「◯◯をする際に△△という問題を抱えていませんか?」と尋ねるのではなく、「◯◯をする際に不便に感じていることはありますか?」と尋ねるのです。

 顧客の中には、不便に感じることはないという人もいるでしょう。より具体的に不便に感じていることをいう人もいるでしょう。これにより、あなたが仮説として設定していた問題意識が、顧客の有している問題意識と合致しているかどうかを検証することができます。

 

問2 最近その問題に直面したときのことを教えてくれますか?

 この質問のポイントは、問題の生じる状況を尋ねることです。イエス・ノーで答えられる質問ではなく、自由に回答してもらう質問を投げかけるのです。

 

問3 どうしてそれが問題なのですか?

 この質問によって、顧客が解決したいと思っている理由がわかります。これは、製品・サービスのキャッチコピーを考えるのに役立ちます。

 

問4 その問題に対する解決策は、もう見つかりましたか?

 顧客が、課題を抱えているのにその解決策をまだ見つけていないということは、その課題は解決するに値するほどのものではないということです。顧客が自ら解決策を探していないのに、売り手の方から製品・サービスを売りつけるのは至難の技です。

 

問5 今ある解決策について、不満に思う点はありますか?

 既存製品との差別化こそ、自社のバリュー・プロポジションです。競合他社と比べての自社の優位性を検討するにあたり、この質問は有用です。

 

 以上が、Wilcox氏の考える顧客インタビューの基本質問です。このようにして顧客インタビューを進めることで自社のビジネスアイデアを検証することができます。アイデアが有効であると分かれば、続けてバリュー・プロポジションと顧客へのアプローチの方法について検討を進めることになります。逆にアイデアがイマイチであると分かった場合は、ターゲット顧客層を変更するか、別の課題設定を行わなければなりません。

 Wilcox氏は、顧客インタビューがビジネスアイデアの検証を進める上で重要な指針となるだけでなく、顧客開発そのものになりうると述べています。下記参考記事では、彼の解説動画もありますので、顧客インタビュー・顧客開発に役立ててください(木村)。

 

〈参考〉

 Interviewing Customers is a Special Kind of Torture. Here's How to Fix That.

 http://fi.co/posts/2801


3 弁護士Blog情報

 

ファウンダーインスティテュート東京 スタートアップ・リーガルのセッションを行いました。(古田利雄)

https://www.clairlaw.jp/blog/toshiofuruta/2015/07/post-82.html

 

「憲法と現状の乖離に問題 国防の在り方、今こそ国民的議論を」というコラムを書きました。(古田利雄)

https://www.clairlaw.jp/blog/toshiofuruta/2015/07/post-83.html

 


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