1 会社名・ドメイン名決定のための5ステップ
会社名はあなたの会社・事業を人々の脳裏に刻みこむための重要な要素です。今回は、FIのメンターであり、Nimbus Health社のCTO(当時)であるJustin Wilcox氏が解説する、会社名・ドメイン名決定の方法について紹介します。
2 新会社名を考える際のリーン・ブランディング方法論の紹介
多くの起業家が、自分の会社の名前を考えるにあたっては、何度も熟考を重ねることでしょう。しかしBrandBucketの創業者Margot Bushnaq氏は、まず決めることが大切と述べています。彼女が説く「リーン・ブランディング」の方法論を紹介します。
1 会社名・ドメイン名決定のための5ステップ
思いついたドメイン名が使われていないか、1つ1つ調べていく作業は効率的ではありません。そこで、Wilcox氏らは、以下の5ステップを用いて、顧客データを利用したよい会社名・ドメイン名の調査をしました。そこで今回は、彼の行った方法を紹介します。
ステップ1 アイデアをクラウドソース化する
まずは、利用可能なドメイン名を数多く提供してくれるwebサービスを利用し、その中からトップ3を選択します。その99%は不十分なものですが、その中でも価値のあるものが含まれており、またこれらはインスピレーションを与えてくれるとWilcox氏は述べています。
ステップ2 よい会社名・ドメイン名の要素は?
次に、ステップ1で選択した名前に以下の特徴が備わっているかを判断します。
(1)記憶に残るか
もしユーザーに名前を覚えられなければ、その友達にも伝わりません。
(2)スペル・音が正しく伝わるか
もしユーザーがドメイン名のスペルを間違えてしまうものならば、間違えた方(=伝わりやすい方)は他の誰かのものになってしまいます。
(3)会社・事業との結び付きがあるか
a 情緒的な結びつき
その名前がどんな感情を呼び起こすかは重要です。
b イメージの結びつき
その名前が人々に与えるイメージと会社・事業が自然に結び付くものであれば、より記憶に残るものとなります。
c 競合との結びつき
とりわけインターネット上では、競合他社・事業と結びつくような名前を付けると、当該競合他社・事業によい影響力を与えてしまうことになりかねないため、避けたほうがよいでしょう。
ステップ3 テストしてみる
会社名・ドメイン名がステップ2で指摘した特徴を備えているかテストしてみましょう。
(1)記憶に残るかのテスト
選択したドメイン名3つを口頭で伝え、見せた後に、それを忘れさせるような一連の質問(例 人口統計に関する質問、些末な数学の質問等)をしてみましょう。その後にドメイン名は何だったかを質問してみましょう。名前が思い出されなかった場合であっても、思い出そうとした過程を答えてもらうとよいでしょう。
(2)スペル・音が正しく伝わるかのテスト
1度だけ名前を聞いてもらい、何と聞こえたか書いてもらいましょう。
(3)結び付きがあるかのテスト
上記abcの観点に基づき、以下のような質問をします。
・名前を聞いて、何のイメージが思い浮かびましたか?
・名前を聞いて、どのように感じましたか?
・名前を聞いて、関連事項として何が思い浮かびましたか?
Wilcox氏は、テストを行う際、オープンソースの調査・分析ツールを利用したそうで、この方法をすすめています。
ステップ4 実行する
webサービスを用いて、ステップ3のテストを実行してみましょう。Wilcox氏は、テストの質を向上させるため、調査に時間をかける者といかさまを行う者を分け、後者を徹底的に排除するようにしたと述べています。
ステップ5 テスト結果を評価する
テスト結果が集まったら、それを表計算ソフトに入れ、以下のように各項目をポイント化してみましょう。
(1)記憶に残るかのテスト結果
(2)スペル・音が正しく伝われるかのテスト結果
これらは、正解者1名ごとに2ポイントを与えます。
(3)会社・事業との結び付きがあるかのテスト結果
回答ごとに以下のようにポイントを与えます。
a 情緒的な結びつき
ポジティブな印象の場合(+1ポイント)(例 好奇心をそそる、有望な、など)
ニュートラルな印象の場合(0ポイント)(例 何も思わない、など)
ネガティブな印象の場合(-1ポイント)(例 イライラ、乱雑、退屈、など)
b イメージの結びつき
ポジティブな印象の場合(+1ポイント)(例 主張する人々、木々や土壌や自然、など)
ニュートラルな印象の場合(0ポイント)(例 人々、お金、変化、など)
ネガティブな印象の場合(-1ポイント)(例 サラ金、など)
c 競合との結びつき
有利な場合(+1ポイント)(例 誰もいない、など)
普通の場合(0ポイント)(例 Kickstarter、など)
不利な場合(-1ポイント)(例 政府サイト、サラ金業者、など)
まとめ
以上の5ステップを経ると、1番お気に入りの名前が高得点となるとは限らないことがわかります。Wilcox氏も、結局2番目に選択した名前が最も高得点をたたき出したと述べています。
このように、会社名・ドメイン名を決定する際には、(1)記憶に残る、(2)スペルが伝わりやすい、(3)良い印象を与えるかを調査ツールを用いて聞くのが賢明です。どんな名前が良いか自分の中であれこれ議論するより、5ステップを踏んで、直接(将来の)ユーザーに聞いてみてはいかがでしょうか(柳田)。
〈参考〉
A Better way to Name a Company, by @Justin_Wilcox
2 新会社名を考える際のリーン・ブランディング方法論の紹介
多くの起業家が、自分の会社の名前を考えるにあたっては、何度も熟考を重ねることでしょう。しかしBrandBucketの創業者Margot Bushnaq氏は、まず決めることが大切と述べています。彼女が説く「リーン・ブランディング」の方法論を紹介します。
Bushnaq氏のいう「リーン・ブランディング」とは、出来るだけ早くブランディングの出発点に立ち、それを無駄なく合理的に進めていくための方法論です。彼女曰く、どんなブランドも、はじめから完璧なわけではなく、テストを繰り返して洗練されていくものです。
会社名を決める際に大切なことは、候補を絞ることです。会社名を考えるにあたって、起業家の頭の中には次から次へと会社名の候補が浮かんでくるでしょう。その候補を絞ることが大切です。
まずは、その会社名が使用可能かどうかを確かめましょう。どれだけ自分の会社にピッタリな名前であっても、使用できなければ意味がありません。
次に、重要なこととして、ドメイン名が使用可能かを確かめましょう。「(会社名).com」などのドメイン名を使用するとなると、選択できる会社名は限られてきます。そしてこのインターネット時代では、既に他の第三者が、使用したいドメイン名を取得していることの方が多いでしょう。その場合は可能であればドメイン名を譲ってもらいましょう。
それから、会社名を決めるにあたって4つのコツがあります。
(1)ブレインストーミングの合理化
会社名を考える際に、ブレインストーミングを行うことがあるでしょう。しかし先にも述べたように、会社名は使用できるかどうかがまず重要ですので、使用できない候補名を挙げても意味がありません。まず、使用可能な会社名のリストを入手してからブレインストーミングを始めるべきです。
(2)決めたら即行動
もし希望のドメインを保有している者から買い取る場合には、値引き交渉などすべきではありません。交渉にあてる時間は、事業に費やしてください。
(3)決断に満足すること
自分が決めた会社名には、満足して自信をもってください。満足していない会社名では、生産的な事業など行えるはずもありません。
(4)事後変更も受け入れること
顧客からのフィードバックを受けることで、自社の会社名が顧客にウケているかは分かります。もしウケていないと判断したら、恐れずに変更してください。なお旧ドメインはまた第三者に売却することができるので、無駄にはなりません。
以上が、Bushnaq氏の説くリーン・ブランディングの方法論にのっとった会社名の決め方です。新会社の会社名を考える際に、参考になれば幸いです(木村)。
〈参考〉
The Lean Branding Approach to Business Naming