Contents
1 成功するアイデアを作るために必要な5ステップの紹介
成功するアイデアを生み出すには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。FIシドニーのディレクターであるBenjamin Chong氏が考えるビジネスアイデア作りのための方法論を紹介します。
2 スタートアップ・アイデアの仮説検証のための10の実験の紹介
ベンチャーキャピタリストであり、FIニューヨークのメンターをつとめるDavid Teten氏が提案する、ビジネスアイデア仮説検証のための3ステップ・10の実験方法を紹介します。
1 成功するアイデアを作るために必要な5ステップの紹介
何もないところから起業のアイデアを生み出すのはなかなか難しい作業です。アイデアをビジネスにつなげる作業がうまくいかず、結局スタートアップを諦めてしまうこともしばしばです。
そこでFIシドニーのディレクターであるBenjamin Chong氏は、スタートアップ・アイデア作りのための方法論をまとめました。彼は、成功するアイデア、プロダクトおよび戦略を生み出すためには次の5つのステップを踏む必要があると言っています。
STEP1:ブレインストーミング
STEP2:評価
STEP3:リサーチ
STEP4: ディスカッション
STEP5:アイデアを叩く
STEP1:ブレインストーミング
最初のステップは、自分の頭の中で、または、チームで、アイデアを出し合うことです。とにかくどんなアイデアでも出していくことが大切です。批判し合ってはいけません。5分で30個以上のアイデアが出るくらいのペースで出し合いましょう。
STEP2:評価
アイデアを出したら、それらを1つ1つ評価していきます。具体的には、そのアイデアに情熱を注げるか?この先10年働けるか?アイデアはシンプルで説明しやすいか?収入源はあるか?既存のものに比べてユニークか?といった点を検証していきます。結果がNOであれば、そのアイデアは捨てるべきです。
STEP3:リサーチ
評価の結果残ったアイデアについて、簡単な市場調査を行います。同じようなアイデアのビジネスを行う会社のうち、どこが成功していて、どこが成功していないのかを調べます。そのアイデアで起業した場合に失敗するリスクをできる限り低くするのが狙いです。
STEP4: ディスカッション
アイデアを周囲の人に投げかけてみて、ディスカッションを行います。知り合いだけではなく、将来顧客となりうる一般の消費者を対象とするのがポイントです。先輩起業家にインタビューを行う、SNSでアイデアを広告してみるのも効果的です。
STEP5:アイデアを叩く
最後のステップでは、ここまでのステップで生き残ったアイデアを叩きます。あえて反対の意見を挙げて、アイデアに穴はないか、有効なものかを確かめるため、徹底的に批判します。ここまで作り上げてきたアイデアを叩くのはおかしなようにも思えますが、ビジネスが失敗してやり直さざるを得なくなるリスクを減らすための重要なステップです。
以上が、アイデアを作るために必要な5ステップです。この5ステップに耐えうるアイデアが見つかったのであればそのアイデアは期待できるのではないかと、Benjamin Chong氏は結んでいます。
スタートアップのみならず新規事業のアイデアを考える際に有効な方法論だと思いますので、参考にしてみてはいかがでしょうか(木村)。
〈参考〉
5 Essential Steps for Developing a Winning Startup Idea
2 スタートアップ・アイデアの仮説検証のための10の実験
新しいアイデアが普及して一般の人々に親しまれ、定番のプロダクトとして定着するに至るまで、起業家はたえずアイデアについて仮説を立て、検証を繰り返す必要があります。
ベンチャーキャピタリストであり、FIニューヨークのメンターをつとめるDavid Teten氏は、新しいアイデアの仮説検証方法として、3ステップ・10の実験を行うことを提案しています。
STEP1:課題設定とターゲット顧客の検証
ここでは顧客からのヒアリングをもとに、ターゲット顧客を意識しながら解決すべき課題の仮説設定を行います。
1 自分がどんな問題意識をもっているかをブログで発信する
まず、自分が問題意識をもっていることに関して、アイデアをブログで発信しておきましょう。そうすることで、将来フィードバックを得やすくなります。
2 従来の課題解決方法を、顧客からヒアリングする
「従来、あなたは○○という問題をどのように解決してきましたか?」-顧客にこのように問いかけることによって、ターゲット顧客の存在と、その顧客が現在利用している解決策(自社にとっての競合他社の存在)を浮かび上がらせることができます。ヒアリングは、オープンクエスチョン(自由回答式質問)で問いかけるのがポイントです。
3 金銭的・非金銭的インセンティブの影響について調査する
例えば「もし値下げしたら、製品を買いますか?」といった質問をした場合の顧客の反応をみてみましょう。これにより顧客の購買行動が、製品の価格の高い・安いに左右されるのかを検証することができます。
4 予約注文を集める
クラウド・ファンディングを利用して予約注文を集めるのはとてもおすすめです。潜在顧客がどの価格でなら買うかを検証する有効な方法だからです。自社製品がクラウド・ファンディングに適合しないと考えている場合であっても、できる限り活用しましょう。
5 テスト広告を走らせる
Google Adwords、Yahoo!、Bingといったサービスを用いて、Eメール登録や予約注文のページに誘導するための広告が最も効果的となるように検証を行いましょう。その際は、ただEメールを集めるだけではなく、簡単な質問の形で正確なデータが集められるようにするのが望ましいでしょう。
STEP2:ソリューションの検証
ここでは、設定した課題仮説に対するソリューション、つまり自社の製品・サービスの検証を行います。
6 サイトの検証を繰り返し行う
ソリューションとなる製品・サービスのランディングページを設けましょう。ランディングページは複数作成し、どのページが顧客の注目を集めるか検証できるようにしておきます。Optimizelyなどのツールを用いて比較情報を収集すると効果的です。
7 ベータ版について利用者の感想を集める
製品のベータ版が完成したら、ユーザに無料で使用させて感想を集めましょう。これによりヒアリング結果から製品サービスの改善を行うことができるだけでなく、初期ユーザを確保できることにもなります。クラウド・ファンディングを利用した場合にも同様の効果があります。
STEP3:顧客行動の検証
ここではターゲット顧客の行動を分析し、得られた結果から自社製品・サービスの検証を行います。
8 ウェブサイトキーワード分析
ユーザがどのようなキーワードで自社サイトにアクセスしたかを知ることで、自社製品のターゲット顧客の行動を分析することができます。
9 マーケティング・キャンペーン分析
ソーシャルメディア解析ツールを用いて、どのようなマーケティング・キャンペーンが効果的かを検証します。その際には、エンドユーザの動向を知ることも重要なのですが、それに加えエンドユーザに影響力をもつ著名人など(インフルエンサー)の動向にも注意を払うことが大切です。
10 オトクな紹介プログラムを試す
有名な例として、Dropboxの紹介プログラムがあります。既存ユーザの紹介により新規ユーザが登録を行った場合、その両ユーザに対して、使用可能なストレージ容量が増えるという特典が与えられるというものです。このような紹介プログラムを試してみるのもよいでしょう。
以上がアイデア仮説検証のための3ステップ・10の実験方法です。これを参考に、自社のアイデアをより明確に、より成功可能性を高められるよう、強化していってください(柳田)。
〈参考〉
10 Experiments To Test Your Startup Hypothesis