「ワークフローツール」の紹介
当事務所の関与先であるMissingLink株式会社の提供するカスタマイズ型「ワークフローツール」を紹介します。
原田CEOは、高校生のときに起業し未だ26歳というユニークな社長で、提供するシステムは、大手とは比較にならないほどリーズナブルです。業務改善を検討中の会社は一度話を聞いてみられてはいかがでしょうか。
特徴
■案件の受注額が一目で分かる
→月ごと、担当者ごとに受注された案件の合計金額を見ることが出来ます。
■案件の状態が一目で分かる
→受注の状態、各種帳票の発行履歴、担当者等の情報が一目で分かることで、案件の漏れがありません。
■請求漏れがない
→登録されたサービスは、請求月に自動的に未請求リストにリストアップされるため、請求書発行に漏れがありません。
■最小限の手間で案件を管理できる
→見積書などの帳票、請求月、支払期日等は入力されたデータから自動的に補完されて作成されます。
お問い合わせはinfo@missinglink.co.jpまで
CEO原田大輔
MissingLink株式会社
1 準共有株式の権利行使の有効性が争われた裁判例の紹介
株式の準共有者が権利行使者を定めていない場合に、会社側が株主権の行使を認めることができるでしょうか? 結論として権利行使を不適法と判断した東京高裁平成24年11月28日判決を紹介します。
2 特許法の通常実施権の当然対抗制度についての解説
平成24年4月に施行された特許法の通常実施権の当然対抗制度の効力について解説します。
1 準共有株式の権利行使の有効性が争われた裁判例の紹介
会社の株主が亡くなると、株式は相続されます。相続人が2人以上で遺言もなければ、遺産分割が整うまで、その株式は準共有状態になり、発行会社に対して、株主権を行使するためには、権利を行使する者1人を定め、会社に対して、その氏名を通知しなければなりません(会社法106条)。ただし、この条文には、「株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。」という但し書きがあります。
さて、Y会社は3000株の株式を発行しており、株主は1000株を保有するAと、2000株を準共有しているBとXです。Y会社は、役員選任などを議題とする株主総会を招集しましたが、BはXと協議することもなく、2000株についての委任状を作成し、Y会社はこの委任状を有効として決議を成立させました。
Xは、このように勝手に決議がなされたことを不服として、株主総会決議の取消を求めました。
第1審の裁判所は、会社は前記「但し書き」の規定により、会社の判断で権利行使を認めることができると判断しました。
会社法の立法担当者の中には、同じ考え方を採り、「106条ただし書は、判例(最判平成11年12月14日)の『共有者全員が議決権を共同して行使する場合を除き、会社の側から議決権の行使を認めることは許されない』という結論を否定するものであり、株式会社が同意をすれば、共有者の一部だけでも権利を行使することができるということを明らかにしたものです。」と述べる者もいます。(http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50055534.html)
しかし、控訴審は、次のように述べて、反対の判断をしました。
「会社法106条但し書きを、会社側の同意さえあれば、準共有状態にある株式について、準共有者中の一名による議決権の行使が有効になると解することは、準共有者間において議決権の行使について意見が一致していない場合において、会社が、決議事項に関して自らにとって好都合の意見を有する準共有者に議決権の行使を認めることを可能とする結果となり、会社側に事実上権利行使者の指定の権限を認めるに等しく、相当とはいえない。
そして、準共有状態にある株式の議決権の行使について権利行使者の指定及び会社への通知を要件として定めた会社法106条本文が、当該要件からみれば準共有状態にある株式の準共有者間において議決権の行使に関する協議が行われ、意思統一が図られた上で権利行使が行われることを想定していると解し得ることからすれば、同法ただし書きについても、その前提として、準共有状態にある株式の準共有者間において議決権の行使に関する協議が行われ、意思統一が図られている場合にのみ、権利行使者の指定及び通知の手続を欠いていても、会社の同意を要件として、権利行使を認めたものと解することが相当である。
よって、本件において、準共有者間に本件準共有株式の議決権行使について何ら協議が行われておらず、意思統一も図られていないことからすれば、被控訴人の同意があっても、Bが代理人によって本件準共有株式について議決権の行使をすることはできず、本件準共有株式による議決権の行使は不適法と解すべきである。」
東京高判平成24年11月28日判タ1389号256頁(上告中)。
このケースは、本日現在、最高裁の判断はなされていないので、最高裁の判断が注目されますが、会社法務としては、この会社のような取扱いをすることはリスクがあるというべきで、相続人には権利行使者の指名をするように求めるべきです。
なお、この権利行使者の指名は、共有物の管理行為に準じて、共有持分の過半数をもって行うものとされています(民法252条・最高裁平成9年1月28日判決)(古田)。
参考:
当事務所のニュースレター vol.49 08 Jul. 2009
https://www.clairlaw.jp/newsletter/2009/07/newsletter613.html
当事務所のニュースレター vol.80 27 Oct. 2010
https://www.clairlaw.jp/newsletter/2010/10/newsletter655.html
2 特許法の通常実施権の当然対抗制度についての解説
当事務所のニュースレターvol.97でもご説明していますが、平成24年4月に改正特許法99条1項が施行され、通常実施権者は、通常実施権を特許庁に登録しなくとも、その後に特許権や専用実施権を譲り受けた譲受人に対して、通常実施権を対抗することができるようになりました。
しかし、特許法99条1項は「通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する」と規定するのみであり、通常実施権設定後に特許権が譲渡された場合に、通常実施権者はライセンス料を特許権譲渡人と特許権譲受人のどちらに支払うべきなのか、いくら支払うべきなのかといった「契約関係の承継の有無・範囲」については、条文上明らかではありません。
学説上は、特許権譲渡人と通常実施権者間のライセンス契約は属人的要素が強いことや、複数の特許権の一部譲渡の場合、実施料額の算定は困難であることなどを理由に、契約関係は特許権譲受人には承継されず、通常実施権者は従前どおりライセンス料を特許権譲渡人に対して支払うべきであり、その後に特許権譲渡人と特許権譲受人の間で精算をすべきとする非承継説もあります。
しかし、知的財産高等裁判所の中村恭判事は、特許法の通常実施権の当然対抗制度の効力として、(1)特許権譲渡人と通常実施権者との間の契約関係が特許権譲受人にも承継される、(2)承継の範囲はライセンス契約中通常実施権設定行為で定めた範囲(特許法78条2項)である、(3)特許権譲受人の通常実施権者に対する実施料請求権も、特許権譲受人に承継された通常実施権設定契約に基づく「相当額」について特許権譲受人に当然承継されるとの見解を述べました(民事法研究会「Law&Technology63号」)。
中村判事の上記見解は「あくまで筆者の個人的な見解にとどまる」とされていますが、知的財産高等裁判所の判事の見解であり、今後、同様の見解に立つ具体的な裁判例が出る可能性が高いと思われます(鈴木理晶)。
参考:
当事務所のニュースレター vol.97 13 Jul. 2011
https://www.clairlaw.jp/newsletter/2011/07/newsletter682.html
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