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また今回、特別講演には「株式会社ディスクガレージ」代表取締役社長の中西健夫氏をお招きいたします。
日時: 7月31日(木)13:30~
場所:早稲田大学 大隈記念講堂 小講堂
入場:無料(懇親会参加者のみ2,000円)
詳細とお申込みは以下から↓
http://www.waseda.jp/rps/incubation/event/appcon2/index.html
1 改正会社法のポイント解説(前編)
平成26年6月20日、企業統治の在り方と親子会社に関する規律を内容とする会社法改正法案が可決成立しました。今回は、企業統治に関連する重要な改正点につき解説します。
2 弁護士Blog情報
所属弁護士による最近のBlog情報を紹介します。
1 改正会社法のポイント解説(前編)
去る平成26年6月20日、会社法の改正法案がついに可決成立し、27日に公布されました。施行日は1年6か月以内で別に定める日とされ、平成27年4月1日が有力です。
今般の会社法改正は、会社法の一部を改正する法律案の提案理由(※)を分解すると、次のようになります。
(※)http://www.moj.go.jp/content/000116475.pdf(法務省HP)
(目的1/企業統治の在り方)
社外取締役等による株式会社の経営に対する監査等の強化
(手段)
・監査等委員会設置会社制度を創設
・社外取締役等の要件等を改める
(目的2/親子会社に関する規律)
株式会社およびその属する企業集団の運営の一層の適正化等を図る
(手段)
・株式会社の完全親会社の株主による代表訴訟の制度の創設
・株主による組織再編等の差止請求制度の拡充
今回は、上記(目的1)企業統治に関連した改正点について解説します。
(1)社外取締役制度の拡充
監査役会設置会社では、監査役の過半数は社外でなければなりませんが、監査役は取締役会のメンバーではないので、取締役会での決議に参加し、議決権を行使することはできません。改正会社法は、議決権を有する社外取締役に関し以下の改正を行うことにより、取締役会での議決権行使を通じた経営者の監督機能を強化することを期待しています。
A 不設置理由開示義務(上場会社等の場合)
(a)例えば上場会社等、公開・大会社で、有価証券報告書の提出義務を負う株式会社が、(b)社外取締役を置いていない場合、事業年度に関する定時株主総会(事業報告でなされることが想定されます)において「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明することが義務付けられます(327条の2)。仮に改正会社法が平成27年4月1日施行となった場合、3月決算の株式会社においては、6月の定時株主総会からこのルールが適用されます。
「社外取締役を置くことが相当でない理由」の具体例としては、「社外取締役の適格者として特定の候補者がいるが、報酬額に折り合いがつかないため」というものが考えられます。なお、「社外監査役が2名以上いること」のみでは理由とはならないことが法務省令で定められる予定です。
現在、上場会社については、証券取引所のルールとして「独立役員」(=一般株主と利益相反が生じるおそれがない社外取締役または社外監査役)を1名以上確保することが義務付けられ、取締役である独立役員の確保は努力義務とされています。
今回の改正では、上場会社等における社外取締役の設置義務は見送られましたが、不設置理由開示が義務化されたことにより、社外取締役設置を検討することが求められています。将来上場予定の会社においても、早いうちから社外取締役候補者を検討する必要があります。
B 社外取締役の要件の限定
まず、従前の要件が緩和され、「過去に」当該会社またはその子会社の業務執行取締役や使用人等であった者でも、その地位でなくなったときから「10年」を過ぎていれば、基本的に社外取締役となることができます(2条15号イ。ただし同号ロ)。これは、以前会社にいたが後に別会社で大成した者を呼ぶことができないことによる不都合を解消するための改正です。
次に、(a)親会社等の取締役や使用人等、(b)兄弟会社の業務執行取締役等、(c)当該会社の血縁者等については社外取締役となることができないとされ、社外取締役の要件が限定されます(2条15号ハ~ホ)。
この改正は、施行後最初に終了する事業年度にかかる定時株主総会終結時から適用されます。上場会社等については、改正後も社外取締役の要件を充たすかをチェックする必要があります。
なお、社外監査役の要件も同様に修正されます(2条16号)。そのため、監査役会設置会社は、従前の社外監査役が改正後の要件を充たすかをチェックする必要があります。
C 責任限定契約を締結できる取締役の範囲の拡大
役員等の会社に対する責任の上限額を限定する契約(責任限定契約)を締結できる取締役の範囲が、「社外取締役」から「非業務執行取締役」に拡大されます(427条)。これは、Bの改正(社外取締役の要件限定)により、これまで責任限定契約を締結していた者が今後も保護されるようにするための配慮によるものです。
なお、監査役についても、「社外監査役」から「監査役」一般に範囲が拡大されます(427条)。
(2)監査等委員会設置会社制度の創設
改正会社法において、新たな機関設計として、「監査等委員会設置会社」が創設されます(2条11号の2、399条の2~14)。これにより、取締役としての議決権行使を伴う監督機能の強化を図るとともに、従前の「委員会設置会社」の"使いづらさ"を解消することが期待されます。
なお、これに伴い現在の「委員会設置会社」は「指名委員会等設置会社」という名称に変更されます(2条12号)。
A 監査等委員会設置会社の構成
まず、監査等委員会を設置するためには、定款変更が必要です(326条2項)。
監査等委員会設置会社においては、取締役会と会計監査人の設置義務があります(327条1項3号、5項)。他方、監査役の設置は禁止されます(327条6項)。
監査等委員会の構成は、3名以上の取締役(監査等委員)で、その過半数が社外取締役である必要があります(331条6項)。なお、常勤の委員の存在は義務付けられていません。
B 監査等委員の任期・選解任・報酬等
監査等委員は、地位の独立性・安定性を確保して監査・監督権限の強化を図るため、以下のような監査役類似の取扱いがなされています。
(a)任期は2年で、短縮不可(332条4項)。他方、他の取締役の任期は1年(332条3項)。
(b)選任は他の取締役と別の株主総会決議(329条2項)、解任は株主総会特別決議(309条2項7号、344条の2第3項)。
(c)報酬等は他の取締役と区別して、定款または株主総会決議で定める(361条2項)。
C 監査等委員会の権限
監査等委員会は、以下のように、従前の委員会設置会社における監査委員会の権限に加え、指名委員会・報酬委員会に似た権限、および独自の権限を有します。
(a)他の取締役の職務執行の監査、調査等の権限(399条の2第3項1号、399条の3~7)。
(b)他の取締役の選任・解任・辞任についての意見申述権(342条の2第4項、399条の2第3項3号)。
(c)他の取締役の報酬等についての意見申述権(361条6項、399条の2第3項3号)。
(d)利益相反取引についての事前承認権限(423条4項)。これにより取締役の任務懈怠の推定が及ばなくなり、役員等の会社に対する損害賠償責任を負う場合が実際上限定される。
上場会社は、監査役会(半数以上の社外監査役)に加えて社外取締役を設置することが求められているため、社外監査役をそのまま社外取締役たる監査等委員にすることが可能な「監査等委員会設置会社」への移行が、魅力的な選択肢の1つとなると考えられます。
次回は、上記(目的2)親子会社に関する規律について説明します(柳田)。
参考:会社法の一部を改正する法律案(法務省HP)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00151.html
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憲法9条に思うこと(古田利雄)
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