ファウンダー・インスティテュート 無料セッションの紹介
ファウンダー・インスティテュートは、シリコンバレーで2009年に立上げられ、世界26か国、42都市で、起業する人(ファウンダー)の素晴らしい会社の創業を支援する教育活動を行っています。
既に、900名以上の卒業生によって、800社が設立されています。
ファウンダー・インスティテュートは、この秋、いよいよ東京での活動を開始し、グローバルに活躍中の上場企業の創業者CEOや経験豊富なベンチャーキャピタリストがシリコンバレー流のメンタリングセッションでファウンダーの起業を強力に支援します。
http://fi.co/mentors#
来る9月11日19時から、マイクロソフト社において、無料の説明会およびプレゼンテーションのワークショップを行います。
起業しようと考えている人は、是非、洗練されたシリコンバレーのプログラムによるセッションを体験してください。
無料チケットの登録は、以下です。
http://fi.co/courses/3185
FI.co: Startup Pitch Bootcamp
古田弁護士は、この団体の東京チャプターのディレクターをしています。
≪今回の紹介テーマ≫
1 専属的合意管轄について
専属的合意管轄裁判所の合意がある場合であっても、一定の場合には、訴訟を他の裁判所に移送するのが相当であるとした裁判例を紹介します。
2 耐震性に問題のある建物に関する賃貸借契約の解約について
耐震性に問題のある賃貸建物を取り壊すことを理由とした借家契約の解約について認められた裁判例を紹介します。
1 専属的合意管轄について
専属的合意管轄の合意は絶対ではなく、認められない事があります。
今回は専属的合意管轄裁判所の合意がある場合であっても、一定の場合には、訴訟を他の裁判所に移送するのが相当であるとした裁判例を紹介します。
契約書の末尾には、しばしば、 「本件に関して紛争が生じたときは、東京地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする。」という記載がされていることがありますが、訴訟が、相手方の会社や代理人の所在地の裁判所で提起され、それが自分や自社にとって遠い場所である場合、訴訟における攻撃防御や、代理人の交通費、日当などの経済的負担において極めて不利になることがあります。
したがって、合意管轄裁判所をどこにするかは、契約をぶ上でとても大切なことです。
しかし相手方が大企業であったり、お客様であるような場合、相手方の要望に応じて相手方に有利な専属的合意管轄に応じざるを得ないことも少なくありません。
しかしこのような場合でも、当事者や尋問を受ける証人の住所、検証物の所在地などの事情を考慮したうえで、訴訟の著しい遅延を避け、又は、当事者間の公平を図る必要があるときは、裁判所は、その訴訟を専属的合意管轄裁判所以外の裁判所に移送することができます(民事訴訟法17条、20条)。
最近公表された事例では、大阪高等裁判所が、東京地裁を専属的合意管轄とする契約に関する紛争について、紛争は兵庫県内で起きたものであり、証人のうち2人以上は神戸地裁への出頭が容易で、東京地裁だと期日の調整や、共同被告事件とも分離しなければならないとして、専属的合意管轄があるにも拘らず、移送をみとめています(同高裁・平成25年1月7日決定)。
契約で縛った、或いは、縛られた場合でも、公平の見地から、異なる扱いが認められた事例の一つです(古田利雄)。
2 耐震性に問題のある建物に関する賃貸借契約の解約について
平成23年3月11日の東日本大震災後、耐震性に問題のある古い建物の建て替えを促進する動きがあります。一方で、当該建物を賃借している立場からすれば、賃貸建物の建て替えは立退きを意味します。今回ご紹介する東京地判平成25年1月25日の事案はまさに耐震性に問題があるとされた建物を取り壊し、新しい建物を建てたいとする建物所有者とこの建物の賃借人とが争った事案です。
事案の概要ですが、問題となった建物は昭和49年築の賃貸建物で、賃借人は昭和58年にこの建物の一室を賃借し、そこで長年にわたって歯科診療所を営んできました。建物の前所有者(本件訴訟の最初の原告)は平成22年1月ころに建物耐震診断を行い、地震の震動及び衝撃に対して倒壊し又は崩壊する危険性があるとの報告がなされています。そこで、前所有者は、平成22年5月、唯一の賃借人である被告に対して、建物賃貸借契約解約の申し入れを行いました。
本件賃貸借契約が平成4年8月1日より以前のものですので、旧借家法1条2項(旧建物ノ賃貸人ハ自ラ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ非サレハ賃貸借ノ更新ヲ拒ミ又ハ解約ノ申入ヲ為スコトヲ得ス)に従い、賃貸人側に契約解約申し入れについての正当事由が認められるかどうかが問題となりました。なお、本件では、訴訟の途中で本件建物が売却されていますので、前所有者と新所有者(原告の地位を承継しています。)の双方について正当事由の有無を判断したという特殊性があります。
裁判所は、まず、前所有者については、本件建物は老朽化しているものの、取り壊しが不可避であるとは認められず、新しいマンション建築の具体的な計画をしていたという証拠もなく、前所有者に本件建物を利用する差し迫った必要性も認められないということで、正当事由はないと判断しました。
他方で、新所有者については、耐震性に問題のある建物を取り壊し、新たに建物を建築しようとすることは不合理とは言えないこと、分譲用マンション建築の具体的な計画があること、その計画内容が合理的であること、本件建物については被告以外に入居者がなく、年間収入が約300万円であるのに対し、固定資産税等で年間約840万円支出していることなどに鑑みて、立退料6000万円を支払うことを条件として正当事由があると判断しました。
本件は特殊な事案ではありますが、昨今問題となっている昭和56年の建築基準法改正前の耐震基準に従った古い建物の取り壊しが争点となっており、似たような事案が増えてくることが想定されます。賃貸借契約の解約申し入れには正当事由が必要とされますが、その判断をする上で参考になる裁判例としてご紹介いたします(鈴木俊)。
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