インフルエンザや風邪が流行していますね。手洗いやうがいをきちんと行うことは非常に有効なようです。マスクの着用は特に他者への感染を防ぐ効果があります。流行の拡大を防ぎたいものですね。
今回は、社外取締役の就任が普及しない現状とその理由、環境表示がどのようにルールづけられているかについてお送りします。
1 社外取締役の人材不足と制度設計
社外取締役の就任が普及しない現状とその理由について解説します。
2 環境表示について
商品やサービスへの「環境表示」の重要性は高まるばかりですが、環境表示がどのようにルールづけられているかについて解説します。
1 社外取締役の人材不足と制度設計
上場会社においても、社外取締役がいない会社は多いですが、その理由の一つとして「適任者がいない」という理由が挙げられており、社外取締役の人材不足が顕著になっています。日本経済新聞(平成21年10月21日朝刊)によると、社外取締役に就任している者の約4割が3社以上の社外取締役を掛け持ちしており、実態はすでに人材枯渇の状況にあるようです。
また、社外取締役の就任が広がらないことの別の理由として考えられるのが、取締役の法的責任の重さです。取締役の会社に対する責任のうち、会社法上の責任については定款の定めによって責任限定契約を締結して責任を軽減することが可能です(会社法427条)。しかし、取締役は、金融商品取引法上の有価証券報告書の不実開示責任のように会社法に基づかない責任を問われることもあり、その責任については責任限定契約による軽減ができません。このため、取締役が巨額の損害賠償責任を負うリスクが排除されず、このリスクの存在が、社外取締役就任に対する障害になっています。
実務的には、民間の損害保険会社が用意している会社役員賠償責任保険(取締役の賠償責任をてん補する保険)の利用を検討することになりますが、会社側が保険料の大部分を負担するとなると、会社の負担が増えるため、会社が社外取締役を招こうとする意欲がそがれかねません。
業務執行を行う取締役は、普通は会社からの報酬で生活しており、会社に生計を依存しています。しかし、社外取締役はそうではないため、不祥事などを開示することを躊躇しないでいられる立場ですから、社外取締役がいることはコンプライアンス上プラスの効果があります。
社外取締役に就任しづらい状況が改善されることを期待したいと思います(田辺)。
参考:会社法427条
2 環境表示について
商品やサービスへの「環境表示」の重要性は高まるばかりですが、環境表示のルールはどのようになっているのでしょうか。今回は、この点について解説します。
環境表示に関しては、景品表示法が最も基本的なルールであり、環境偽装表示は、景品表示法4条1項「優良誤認表示」として禁止されます。しかし、景品表示法の優良誤認表示の要件は「実際のものよりも著しく優良であると示し」と抽象的です。
そこで、平成13年3月、公取委員会は「環境保全に配慮した商品の広告表示に関する実態調査について」を公表し、環境表示に関する具体的判断基準について一定の指針を示しています。
(1) 表示の示す対象範囲が明確であること
環境保全効果に関する広告表示の内容が、包装等の商品の一部に係るものなのか又は商品全体に係るものなのかについて、一般消費者に誤認されることなく、明確に分かるように表示すること。
(2) 強調する原材料等の使用割合を明確に表示すること
環境保全に配慮した原材料・素材を使用していることを強調的に表示する場合には、「再生紙60%使用」等、その使用割合について明示すること。
(3) 実証データ等による表示の裏付けの必要性
商品の成分が環境保全のための何らかの効果を持っていることを強調して広告表示を行う場合には、通常に当該商品を使用することによって、そのような効果があることを示す実証データ等の根拠を用意すること。
(4) あいまい又は抽象的な表示は単独で行わないこと
「環境にやさしい」等のあいまい又は抽象的な表示を行う場合には、環境保全の根拠となる事項について説明を併記する。
(5) 環境マーク表示における留意点
環境保全に配慮した商品であることを示すマーク表示に関し、第三者機関がマーク表示を認定する場合、認定理由が明確に分かるような表示にする。事業者も、マークの位置に隣接して、認定理由が明確に分かるように説明を併記する。
また、グリーン購入法は、環境表示そのものに関する法律ではありませんが、グリーン購入法の基準を満たす商品等である旨を表示することが環境表示の主要な内容である場合も多く、実務上は無視できない重みを持っているといわれています。
最後に、環境省が平成20年1月16日に発表した「環境表示ガイドライン」をご紹介します。
環境表示ガイドラインは、環境表示に関する国際標準(ISO)を基本としつつ、国際標準だけでは分かりにくい部分を補うべく独自の項目を提示したものです。
但し、法律の授権や委任に基づくものではないため法規範性はなく、景品表示法の執行に際して直接的に参照されるべき基準でもありません。
しかし、実際の商品等の製造販売に際してはISOやJIS規格を遵守することが望ましいことから、当該ガイドラインは必要かつ有益といえます。
環境表示ガイドラインの概要は以下のとおりです。
(1) 国際標準への準拠
・主張は正確で、実証されており、検証可能であること
・あいまいな表現や主張が特定されない表示は行わない
・主張内容は製品のライフサイクルにおける関連する環境側面の全てを考慮したものであること
・特定の用語を用いた主張を行う際には定義等に注意すること
(2) 国際標準以外に加えて守るべき項目
ア 全ての環境表示に求められる要求事項
・消費者にとって、分かりやすい表現等を行う
・素材の環境負荷の原単位や使用割合による環境負荷削減効果などを明確に表示する
・曖昧でありながら何らかの環境保全効果を示唆する用語を製品やサービスの商品名又は愛称に用いる場合は、環境表示とみなす
イ シンボル(ロゴ・マーク等)を使用する際の要求事項
・シンボルが示す意味及び使用基準を明確に設定し、さらに、そのシンボルに隣接して説明文を表示する
・環境表示とは無関係な自然物等を示すデザインは避ける
ウ シンボルを使用して自主基準等への適合性を表示する際の要求事項
・主張する製品やサービスが、グリーン購入法特定調達品目又はエコマーク対象商品等に該当し、公的あるいは、第三者による認証等の基準がある場合は、それらの基準を考慮する。公的あるいは、第三者による認証等の基準が存在しない場合は、事業者団体において適正な自主基準等を設定する
・製品やサービスの環境性能に関する評価方法が既存の方法と異なる場合、換算可能な方法を用いる
・将来的に他社製品との比較ができるよう基準等を考慮する
これらのルールに照らして、御社の準備は万全かどうか、いま一度検討されてはいかがでしょうか(佐藤)。
参考:景品表示法4条1項
「グリーン購入法.net」(環境省)
http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/g-law/index.html
「環境表示ガイドライン」(環境省)
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=10742&hou_id=9241