法律用語
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目次
知的財産権
知的財産権には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権などがあります。 また、不正競争防止法も、周知表示の無断使用や商品形態の模倣などを規制しています。 特許権、実用新案権、意匠権、商標権は、特許庁での登録が必要ですが、著作権や不正競争防止法の保護を受けるには、法律上に定める要件を満たせばよく、登録等の手続は不要です。 これらの知的財産権が侵害された場合、権利者は、侵害者に対し、侵害行為の差止めや損害賠償を請求することができます。
相殺・相殺適状
相殺とは、取引の相手方に対して債権を有すると同時に債務を負担する場合に、債権・債務が同種の目的を有するものであるなどの一定の条件のもと、相手方に対する意思表示をもってその債権と債務を対当額において消滅させることをいいます(民法505条以下)。 相殺する側の債権を自働債権、相殺される側の債権を受働債権といいます。 また、相殺適状とは、相殺することができる状態にあること、すなわち相殺の意思表示をする側の債権が弁済期に達していることをいいます。 相殺は、当事者どちらかの一方的な意思表示によって行うことができ、その効果は相殺適状になった時に遡って生じます(民法506条2項)。
期限の利益
期限の利益とは、決められた期限まではお金を返す必要がない、代金の支払いを請求されないといった、期限が到来していないことで債務者が受ける利益のことをいいます。 民法上、債務者が期限の利益を失う場合として、破産、担保の毀滅、担保提供義務の不履行の3つが定められています(民法137条)。 しかし、これでは契約上これでは十分とはいえないこともあり、このような場合には「期限の利益喪失条項」を定めることになります。 期限の利益喪失条項とは、債務者がその信用を失うような一定の事実が生じた場合に、期限の利益を喪失し、債務者が直ちに弁済しなくてはならなくなる特約を定めた条項を指します。
催告解除・無催告解除
民法の一般原則では、当事者の一方がその債務を履行しない場合、相手方が相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときは、相手方は契約を解除をすることができるとされており(民法541条)、これを催告解除といいます。 一方、当事者間の合意があれば、この相当の期間を定めての履行の催告をしなくても解除できるとすることも可能です。これを無催告解除といいます。 しかし、こうした無催告解除の特約があっても、信義則上の制約が及び、一定の場合には裁判上その効力を認められないことがあります。
瑕疵・瑕疵担保
瑕疵(かし)とは、ある物に対し一般的に備わっているべき機能が備わっていないこと、あるべき品質や性能が欠如していることをいいます。 一般に、売買契約や請負契約において、目的物に瑕疵がある場合、損害金の支払いや解除の問題が生じます。これを瑕疵担保責任といいます。 民法上、売買契約については、隠れたる瑕疵(買主が瑕疵を知らず、または知り得なかった瑕疵)があった場合には、買主が事実を知った時から1年以内であれば、契約の解除や損害賠償の請求が認められます(民法570条・566条)。 また、請負契約についても、修補請求や解除など、独自の瑕疵担保責任が定められています(民法634条以下)。 当事者間の契約により、民法とは異なる瑕疵担保責任を定めたり、逆に瑕疵担保責任を負わせない旨を定めたりすることも可能で、契約の性質に合わせた運用をすることができます。
危険負担
危険負担とは、契約の当事者が対価関係にある債務を負担する場合に、一方の債務が不可抗力により履行できなくなったら反対債務は消滅するか、という法律上の問題をいいます。 例えば、中古建物の売買契約が成立した後、類焼によって当該建物が滅失したとします。 この場合、当該建物の滅失は、売主の責任とも買主の責任とも言えませんが、買主は、当該建物の売買代金の支払い義務を免れることができるでしょうか。 これが危険負担の問題です。 中古建物は特定物に該当し、民法上、危険は債権者が負担することになります(民法534条1項)。 つまり、売主は当該建物の引渡義務を免れる一方、買主は代金支払義務を免れることができないのです。 しかし、建物など高額の目的物の場合は、売主側で損害保険を掛けておくことによって、引渡前に目的物が滅失した場合の損失をカバーすることが可能です。 このため、このような場合には、当事者間の契約によって、危険を債務者すなわち売主が負担すると定めておくことがよく行われます。
保証・担保
保証とは、債務者Yが、債権者Xに対する債務の弁済が出来なかった場合に、保証人ZがYに代わって弁済する、という合意をいいます。 また、連帯保証とは、債務者Yと保証人Zが連帯して債務を負担する、という合意で、保証人Zは、債務者Yが債務の弁済を出来ると否とに関らず、債務の弁済義務を負うことになります。 一方、担保とは、債務者が債務を履行しない場合に備えて、弁済を確実にするために債権者に提供されるものをいい、抵当権などがその代表例です。 契約書上、保証が担保の意味で使われたり、保証のことを人的担保と表現することもありますが、一般的には、保証は人、担保は物に対して用いられる用語です。
準拠法
準拠法とは、契約の解釈の基準となる法律を取り決める法規をいいます。 法の適用に関する通則法7条によれば、法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法によるとされています。 また、同法8条により、当事者による準拠法の選択がない場合は、法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法によるなどとされています。
管轄裁判所・合意管轄
管轄裁判所とは、ある類型の事件を処理できる裁判所のことをいいます。 訴えを提起する場合、どの裁判所に提起することが出来るかは、民事訴訟法により規定されています。 東京に住んでいる債権者が大阪に住んでいる債務者を被告として100万円の支払請求訴訟を提起する場合、原則として、債務者の住所地の管轄裁判所である大阪地方裁判所に訴えなければなりません(民事訴訟法4条1項)。 しかし、この管轄裁判所を、当事者の合意によって、東京地方裁判所とすることも可能です(合意管轄)。 合意管轄とは、訴訟提起前に、当事者の合意によって定められた管轄をいいます。 民事訴訟法では、専属管轄(裁判の迅速・適正という公益的な見地から、当事者の合意による変更を認めない管轄)がある場合を除いて、一定の法律関係に基づく訴えについては、第一審に限って契約当事者の書面による合意により管轄を定めることができるとされています(民事訴訟法11条)。 合意管轄には、「選択的合意管轄」と「専属的合意管轄」があります。 選択的合意管轄は、法定管轄以外の裁判所に付加的に管轄を認めるものです。 専属的合意管轄は、法定管轄の有無を問わず、特定の裁判所だけに管轄を認めるものです。
原本・謄本・抄本・正本・副本
原本とは、作成者が一定の内容を表示するために、確定的なものとして作成された文書をいいます。 判決原本、公正証書原本、為替手形原本、契約書原本などの形で用いられます。 なお、原本には、作成者が署名(記名)押印するのが一般的です。 謄本とは、原本の内容全部を完全に写し取った文書をいいます。 戸籍謄本などがこれにあたります。 抄本とは、原本の内容の一部を抜粋した謄本をいいます。 正本とは、判決正本など、法令の規定に基づき権限ある者(判決正本の場合では裁判所書記官)によって原本に基づき作成された謄本の一種で、原本と同一の能力を有する文書をいいます。 副本とは、正本に対する用語で、正本が滅失した場合の予備として作成される正本と同一の内容を持った文書をいいます。 謄本に類似しますが、謄本のように写しではなく、当初から原本と同一内容で同一の効力を有するものとして作成されます。