改正雇用対策法(パワハラ対策法)が今年6月から施行されます。それに備えた企業研修で話をして気づいたことを書きました。
"パワハラはなぜ起こるか 上司の適性把握と対話不足が要因"
https://www.innovations-i.com/focus/2617.html
企業としては、従業員に効率的に業務を遂行してもらわなければならないので、パワハラに関して「正当な業務上の指導とパワハラの線引きが難しい」という論調があります。
裁判例には、被害者に仕事上の不手際がある場合に上司の強い指導も違法とは言えないと判断したケースもあります。確かに、同じミス(特に危険を伴うような)を繰り返すような従業員には厳しい指導もやむをえない面があります。
また、地裁ではパワハラと認めたのに高裁では逆転、或いはその逆の事実認定をしたものがあり、パワハラ事案の事実認定の難しさを感じます。
しかし、日本社会における社会通念は大きく変化しています。昭和時代的なガラの悪さや、酒を理由とした脱線などは受け入れてもらえません。
企業は、大きな流れとしては、業務上必要な指導であっても、
① 暴行などの有形力を伴うものは同法のみならず刑法、民法にも抵触
② 言葉によるものであっても指導の目的に照らして相当な程度を超える強度のものはパワハラに該当する
と考えるべきです。
部下が上司の指導をスマホで録画しているケースもあります。その動画が拡散されても酷い職場だと思われない程度に指導も品よくするべきなのです。
特に、パワハラ行為が長時間労働の下で行われると、労働者は著しく疲弊するようになり、うつ病等の発症や自殺などの重大な結果につながることもあります。そのような事態はなんとしても避けるべきだと思います。