検索エンジンのサジェスト機能とは、Googleなどの検索サービスで キーワードを入力した時、そのキーワードと一緒に検索される可能性が高いキーワードが自動的に表示されることをいい、その際に表示されるキーワードをサジェスト・キーワードといいます。
例えば、「クレア法律事務所」をググろうとすると、「クレアほうり」まで入力したときに、以下のような表示が現れます。
クレア法律事務所
クレア法律事務所 契約書
クレア法律事務所 個人情報保護
クレア法律事務所 古田
クレア法律事務所 所属弁護士
このようなサジェストキーワードは、セットで検索された履歴が多いものが表示されます。
このため、どのようなサジェスト・キーワードが表示されるかによって、逆に自社が世間からどのようなブランドとして見られているかを推測することもできます。
当事務所のHPは、契約書のサンプル、契約書・個人情報保護に関するQ&A等のコンテンツが多いため、WEBからのアクセスはこのようなドメインのものが多くなります。
当事務所は一貫してベンチャー企業支援を続けているので、
クレア法律事務所 ベンチャー支援
と表示されて欲しいところであり、そのようになるようにSEO対策をするべきでしょうが、ベンチャー企業に必要と思われ情報を掲載していたら、その一部である契約書や個人情報保護がサジェスト・キーワード上位に来ているというのが現状です。
こうなると、他の範疇のオファーは来ないということになります。しかし、ブティック型のプロフェッションの場合には、狭い領域の仕事が繰り返し来た方が、高い専門性を維持できるので、専門家にとっても顧客にとっても良いことであるともいえます。
このように通常は検索者の手間を省いてくれるサジェスト機能ですが、ネガティブなサジェスト・キーワードが表示されることがあります。
現実にネガティブな行為を行った履歴がある場合にそれが表示されるのは仕方がないのですが、例えば、会社名を他社や地名と混同されたりすることによって、身に覚えのないネガティブで迷惑なサジェスト・キーワードが表示されることがあります。
(なお、現にネガティブな行為を行った過去があっても、社会的関心外となるのが相当な程度に時間が経過したのであれば、"忘れられる権利"によってその停止を申請することになります。)
例えば、以下のような相談がありました。
>現在、Googleで当社の社名を検索しようとすると、「倒産」という検索候補が表示されます。
当社は社名の一部に地元の町名を使っているのですが、この地域で最近2件の大型倒産事件があったので、債権者やユーザーなどが「地名」と「倒産」で検索した結果ではないかと思います。
当社は社歴もあり、業績も堅調ですが、取引先や求人への応募者からは、どうして「倒産」が表示されるのかと聞かれてとても迷惑です。このキーワードが表示されないようにする方法があるでしょうか?
検索エンジン側では、このようなケースに対応するために、検索エンジンのサジェスト機能の停止・訂正の申入れを受け付ける窓口を設けています。
グーグルであれば、「法律に基づく削除に関する他の問題を報告する」 がそれです。
https://support.google.com/legal/contact/lr_legalother?product=searchfeature&uraw=
この申し入れには、検索エンジンのサジェスト表示がどのような権利侵害をしているかを明確にする必要があります。
そこで、このような相談については、業務に支障が出た事例を相談者に具体的にとりまとめてもらいます。
そのうえで、相談者の代理人として、上記サイトから報告を行います。
上記の例でいうと、
・ 報告者の設立から現在までの営業状況
・ 問題となるサジェスト機能の内容
・ 当該サジェスト・キーワードが検索者に与える印象
・ 実際に困ったことが起こった事例の引用
・ 侵害されている権利とその法令上の根拠のまとめ
・ 当該サジェスト・キーワードが削除されることは検索者にとってメリットのみであること
などを記載して、速やかに当該サジェスト機能を停止されることを求める旨で結びます。
そうすると、検索エンジンからは、
・ 当該報告を受領したこと
・ 報告に対する判断には相当の日数が必要であること
・ 報告内容が有効かつ対処可能な法的な申し立てである場合にのみ返事をすること
などを内容とするオートリプライメールが届きます。
上記のケースでは、1週間経過したころに、検索エンジンから
>検索結果から下記の検索候補を削除いたしました。
「×××× 倒産」
という返事が来ました。1か月くらいは覚悟していましたが、報告申請した時期が評価検討をする会議の直前だったのかもしれません。
このような問題で困っている皆さんの参考となれば幸いです。