フジサンケイ ビジネス アイ にコラム 「法的安定性の意義 首相補佐官の暴言、立憲主義を否定」を書きました。
少し、補足します。
私は、普段、企業法務のアドバイスをしています。
企業が、新しいビジネスプランを練ったり、現在のプランに修正を加える際には、法的に許されるかどうかはきわめて重要です。
例えば、インターネットでコンテンツをシェアするタイプのビジネスであれば著作権法、サプリメントの販売であれば薬事法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)、不動産関係であれば建築基準法・宅建業法・農地法etc、そしてそれを実施した場合の課税関係など様々な法令との関係を精査しなければ、後になってビジネスが頓挫したり、予想した利益が確保できないことになりかねません。
しかし、これらの法令が予定するルールが恣意的に変更されるのとしたら、折角事前にルールに合わせて設計したプランも水泡に帰することになり、思いがけない損害を被ることになります。
ルールが相当期間継続するということは、そのルールを信頼して行動する関係者にとって極めて重要な要請であり、ルールをルールとして価値あらしめるための内在的な要素なのです。
ルールが恣意的に変更されるということは、とても不当なことです。身近な例でいうと、オリンピックの水泳やスキーで日本人選手が優勝した後に、ルールが変更され、潜水泳法の禁止や、スキー板の長さ規制などが行われ、理不尽な思いを抱いた人が多かったと思います。ルールの変更は、それが許さると思って、そのルールを前提として行われた努力を無価値にしてまいます。
ルールを変更するには、ルールが変更されることが合理的であることをルールの対象者が納得できるようにして、かつ、対象者がそれに基づいて行動できるようにする期間、いわゆる周知期間を設けなければならないのです。