2015新年会 年頭あいさつ

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弁護士法人クレア法律事務所の2015年1月15日の新年会の報告です。
六本木ヒルズクラブに100名ほどの皆さんにお集まり頂きました m(__)m 

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世界の行方について少し大きな時間軸で考えるのもよいのではないかと思い、フリードマンの100年予測を引用しつつ年頭のご挨拶をさせて頂きました。

「100年予測」 「続・100年予測」 ジョージ・フリードマン (早川書房) は、地政学的分析に基づいて、概略以下のように述べる。

・ アメリカの建国以来の基本戦略
アメリカに挑戦しうる地域覇権国の台頭を防ぐこと=アメリカ陸軍の北米支配、全海洋の支配、強国の台頭の阻止
1991年のソ連崩壊によって、アメリカは世界で圧倒的な帝国になった。アメリカは、世界の各地域で可能な限り勢力均衡を図ることで、それぞれの勢力を疲弊させ、アメリカから脅威をそらす。新たな同盟関係を利用して、対決や紛争の負担を他国に担わせ、その見返りに経済的利益や必要とあれば軍事介入を約束して他国を支援する。

・アメリカの強さの源泉
アメリカの経済が強力なのは、軍事力のおかげ。
アメリカは戦争はしたが、本土を戦火にさらしたことは1度もない。アメリカの軍事力と地理的現実が、経済的現実を生み出した。他国は戦争からの復興に時間をとられたが、アメリカは戦争のおかげで成長してきた。
世界のアメリカ以外の国の海軍力を全て合わせても、アメリカ海軍の足元にも及ばない。アメリカは他国を侵略することが可能で、しかも自らは決して侵略されない。
アメリカは20世紀後半の22パーセントの期間戦争をしている。そして21世紀が始まった以降ずっと戦い続けている。
アメリカは戦争の申し子であり、今なお加速するペースで戦い続けている。連邦議会が宣戦布告した事はこれまで5回しかないが、大統領が各地の紛争にアメリカ軍を派遣した回数はそれを遥かに上まわる。

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・世界人口の破綻
日本を先頭に先進工業国の出生率が減少しているが、それ以外の国もすぐ後に続く。
現在ヨーロッパ全体の人口は7億2,800万人だが、国連の予測によれば2050年には5億5,700万人から6億5,300万人程度まで減少する。
世界の人口は、1950年から2000年までの50年で30億人から60億人に倍増した。
2000年から2050年にかけて50パーセント増加するが、その後増加率は10パーセント程度に低下し、2100年までに減少に転じる可能性もある。
産業の高度化とともに、子供に高等教育を受けされる必要が生じる。子供は低コストの働き手でなく、教育を受けさせるために金のかかる存在になるため、経済的制約から必然的に少子化になり経済の減速を招く。

・中国
中国がこれまでのペースで成長を続ける確率は低下している。中国は成長が減速すれば社会的にも政治的にも重大な問題が生じる。中国は世界の主要国にならないし、統一国家として持ちこたえるとさえ考えられない。
中国では、事業計画ではなく人脈に基づいて融資がなされており、相当数が不良債権化している。不良債権の総額は6,000億ドルから9,000億ドルと推定され、中国のGDPの4分の1から3分の1に相当する。1990年(バブル崩壊時)の日本の不良債権残高はGDPの2割だった。
30年間続いた驚異的な成長は、中国経済に莫大な不均衡と非効率をもたらした。
景気悪化がもたらす歪みにより、中国は伝統的な地方の境界線に沿って分裂するうちに、中央政府が弱体化して力を失う。

・ EU
自由貿易圏として創設され、今後もそうあり続ける。EUが国際舞台の主力になり得る統一主権国家に発展することはない。EU加盟国には、軍事力の共有を促す共通の利益がない。
統一軍を持たないヨーロッパは、底深い力を持つことはは無い。

・トルコ
13世紀のモンゴル人によるイスラム帝国侵攻以降、イスラム教大国の中で、イスラム世界から帝国を生み出すことに最も頻繁に成功している国がトルコである。
トルコはアメリカの中東戦略にとって欠かせない存在であり、アメリカはトルコに対して、地中海でのアメリカ海軍の負担を分担し、北アフリカにおけるロシアの軍事的冒険を阻止するよう要請する。同時にアメリカはあらゆる手段を講じてトルコの経済発展を後押しする。その結果既に成長著しいトルコ経済はさらに活性化する。

・アメリカ VS テロ
テロリストは、そう扱われることを目的としているが、アメリカにとって重大な脅威ではない。
テロリストがアメリカの物質的基盤を破壊することはできない。
テロは根絶することができないものである。
9.11のアルカイダは、80年代のソ連・アフガン戦争のときに、米国が反ソ連活動のために訓練したものだが、指揮系統も下部組織もないため、組織を破壊することはできない。テロにリソースを裂かず、原則的な活動(地域で台頭してくる国家の攪乱)を進めるべきである。

・日本
日本の人口は2050年までに1億700万人に減少する。労働人口はこの半分にすぎず、経済を管理可能な水準で維持することが難しくなり、労働力不足(日本は移民を受け入れる文化がない。)とエネルギー不安に板挟みになった日本は、地域覇権国を目指す以外にとるべき道がない。
日本には、経済政策や政治方針を大きく転換しても、国内の安定が損なわれないという特質がある。日本は地理的に隔離されているため、国家の分裂を招くような社会的、文化的影響力が守られている。その上日本には、実力本位で登用された有能なエリート支配層があり、その支配層に進んで従おうとする、非常に統制のとれた国民がいる。日本が2020年代になってもまだ遠慮がちな平和主義なままでいるとは考えづらい。
ロシア・中国が崩壊し、日本が地域覇権国として再び浮上すればアメリカは日本の軍事力の増大に反応し始める。日本はこれに不安感を募らせ、日米関係は悪循環に陥る。
韓国はアメリカにとって強大化する日本への対抗勢力であり、アメリカが日本海で勢力を誇示するための拠点である。韓国が台頭する日本に対抗すべくアメリカに支援を求める結果、米韓反日同盟が出現する。
またアメリカは日本の動きを封じるようとする中国政府の取り組みを支援する。

・2040
アメリカはポーランド陣営に武器を供与してトルコとの対立を助長する。インドを支援してインド洋で軍事力を拡充させ、中国と韓国の力を高め太平洋と地中海にアメリカ軍を増派する。このようにして直接手を下さずに日本とトルコをできる限りの手で押さえ込もうとするだろう。
アメリカがこれまで同盟国に武器を提供し支援してきたことを100も承知のトルコと日本は、自分たちがアメリカの代理人の手によって危機にさらされているという結論に至る。そしてこれをきっかけに、大幅なエスカレーションが起きる。

・2050
日本は人口問題に対処し、原材料を入手するためアジアに影響力を行使する必要がある。そのためにどうしても北西太平洋を支配しなくてはならない。日本とトルコの行動はアメリカに不安をもたらす。
こうして戦争が賢明な選択として選ばれる。
第二次世界大戦では発射体の命中率はひどかったが、命中精度の高く、目標識別力の向上したテクノロジーが戦争を変える。総力戦は過去のものとなり、必要な兵士の数も防衛関連労働者の数も減り、科学者や技術者の数が増え、アメリカは攻撃を受けることのない宇宙から日本をピンポイントで攻撃する。

ジョージ・フリードマン:
国際情勢に関する情報配信と戦略分析を行うアメリカの民間情報機関ストラトフォーの創設社で、その現会長。同社は世界各国の多国籍企業、ヘッジファンド、政府、軍などに助言を提供しており、その影響力の大きさから、「影のCIA」の異名をとる。2001年の9.11テロ事件でブッシュ政権とアルカイダの動きを見事に予想し、大震災の翌日である2011年3月12日には福島第1原発の状態がメルトダウンであるとの見解を公表した。

最後に、 明日に向けて という一枚のスライドを出した。
日本人は、日本が少子高齢化によって活力が低下することばかり心配しているが、日本は先頭を走っているだけで、世界中が必ずそうなる。そして、日本は再びジアで台頭する。日本から逃げる必要はない。また、日本人は日米安保に寄りかかっていればよいと思っているが、米国を指導しているストラテジストは日本を危険な潜在的敵国だと思っている(フリードマンはユダヤ系なので、ドイツ、日本には特殊な感情があるのかもしないが、)。
中国の失速も着実に進んでいる、今朝も、「中国の不動産開発会社佳兆業集団は、ドル建て社債27億円の利払いができず、ドル建て債のデフォルトに陥る中国初の不動産会社となるリスクが生じた(Bloomberg Global Finance 2015.Jan.20.P32)」とする記事を目にしたし、今月10日のTV番組には、GDPを上げるためにガス水道電気などのインフラのないところに、巨大なビル群を建築した50もの地域がゴーストタウンになっており、そこにあるマンションの購入価格も数分の一に下落しているというものもあった。中国が失速してアジアがより不安定になることも考えなければならない。

とともに、そのような壮大なテーマとは別に、自分自身も日々できる限りのことを全力でやりきりたいと思う。
昨年、印象的な言葉は、 「組織には目標が必要(ドラッカー) 目標を達成したら、目標の再設定が必要」の後段部分だった。
私自身は、目標は自分なりに再設定した。
今、まさに目標に向けてひたすら努力している人もいるだろうし、幸いにも最近目標を達成した人もいる。
この新年会でも、昨年暮れに株式上場を果たしたデータセクションの橋本さんや、ちょうどこの日に株式上場の承認を得たアルベルトの山川さんが来られたので、最初の乾杯のときに一言づつコメントを頂いた。
マイルストーンをクリアしたら、次に向かって走り出す! (もちろん、次はのんびりするという目標でもいいですが、、)
だらけないためには、それが必要だと思う。
(、、、段々言うことが年寄っぽくなってきたなと感じております。)
 



TAGS:新年会 100年予測 クレア法律事務所 年頭の挨拶

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古田利雄>
古田利雄

主にベンチャー企業支援を中心に活動しています。上場ベンチャー企業、トランザクション、NGC、Canbas等の役員もしています。

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