昨日(5/9)、東京弁護士会会社法部で、恒例の弁護士向け「株主総会公開講座(6/2)」の準備検討会が行われた。部員の末岡弁護士、植松弁護士、豊泉顧問などからコメントがなされた。
概要+私見は、以下のとおり。
全体として
会社法の改正は進んでいるが、今年の総会の時点では施行されておらず、金商法等にも特段の改正はないので、昨年までの実務が法改正によって影響を受けるということはない。重要な法改正があると、新しいやり方は何が正しいのかが問題になるが、そこで悩むことはない。
全般的に見ると、株主の構成状況や、集中日の集中率、出席率、所要期間なども大きな変動はない模様である。
各社は、既に、今年の基準日の株主構成は把握しているはずなので、個人株主が増加したとか、機関投資家が新に加入したなど自社の状況を踏まえて、会場や、当該機関投資家の投票方針などの分析の準備をすることになる。
株主からの質問
最近の株主総会における株主からの質問で多いものは以下のとおりなので、これらについては、回答の準備をしておきたい。
- 経営、営業政策
- 配当、株主還元
- 財務状況
- リストラ・人事・労務
- 子会社、関連会社
- 株価動向
このうち、4については、女性・外国人の登用などいわゆるダイバーシティに関するものが増えてきている。また、社外役員についての質問も多い。
今年は、消費税増税の影響や、従業員の賃上げについての質問も予想される。
議決権行使助言機関の助言基準
ISS、グラス・ルイス、企業年金連合会などの議決権行使助言機関の助言基準に大きな変更はない。
依然として、社外役員や監査役への業績連動型報酬や、役員退職慰労金、ストックオプションなどは否決助言がされやすい。
昔と違って、「荒れる総会」という問題は(基本的に)ないので、法的にすべき部分はきっちりと行い、併せて、株主に直接会社・経営陣のメッセージを伝え、株主の意見を傾聴する場として、充実したものになるようにしたい。
株主総会が会社を良くするループの一つの部品になれば最高だと思う。