NHK スペシャル 「日本国債」が興味深かったので、ちょっとコメントしてみる.
ある会社「ニッポン」の年間の支出は、90万円。
この会社には、1000万円の借金があり、毎年元本と金利(金利だけで10万円)を払っている。
でもこの会社の借金の9割は、会社の株主(国民)から借りているし、他の会社(外国)への貸付金が265万円あるので、世の中からはキャッシュフローは大丈夫だろうと思われてきた。
キャッシュフローがいよいよダメになったら、最終手段として、株主(国民)に「この借金はオーナーのために増えたもんだから、減資(チャラに)してね。」とすれば、バランスシートは元に戻る。
新政権になるはずの人々は、デフレと円高が不況の原因だということで、インフレターゲットを設けようとしている。
しかし、金利が1%上がると、日本政府の国債の金利負担も順次増加していく。
企業の金利負担も増加する。
25年3月で期限切れになる金融円滑化法によって、元本返済猶予中の債務は95兆円もある。
インフレに景気の回復が伴うのであれば、増加した収益とインフレによる相対的な債務の縮小によって、増えた金利負担なども吸収できる。
しかし、内需が拡大しない、貿易収支も悪化したままでインフレになっていくと、屍累々という状況になるのではないか。
企業の事業計画と同じで、国の財政の計画も、どのような国にするのかを決めてから財政の設計をするべきだと思う。
あくまで、国のビジョンが先で、財政はそれを裏付けるものであるはずだ。
この主従の関係は、理屈の上では異論のないところではないだろうか。
税制やエネルギー政策など個別論点に入ってしまう前に、
国民の大部分は、江戸時代のように、互助互恵システムのあるラテン系の「宵越しの金はもたない」でも楽しく生活できる低成長エコ社会みたいなのが良いと思っているのか?
それとも、ある程度の格差はあっても規制緩和と機会の平等が重視された競争社会がいいのか?
大部分の国民が共有できるビジュアライズされた国家モデルを作り上げて、それに向かって整合性のある施策を採っていかないと、効果的な国家運営はできないのではないかと思う。
(国債の問題からだいぶブレてしまったが)
以下は、 NHK スペシャル 「日本国債」の概要
日本の債務は1000兆円、そのうち国債は709兆円で、国の歳出の8年分。
利子の支払いだけで年間10兆円。
日本は税収が減り続けており、年間予算は90兆円のうち44兆円を国債で賄っている。
赤字国債は財政法で禁止されているが特例公債法によって例外的な措置として赤字国債が発行されている。
それでも赤字国債を発行できるのは国内のメガバンクが買っているから。
みずほ銀行は2011年に国債運用でおよそ1500億円の利益を上げた。
国債は金融機関と日銀が合わせて75%を保有している。
しかし、国債が国内の金融機関に集中している状況は、国の財政の劣化とともに金融機関の劣化も招くので、IMFからも金融システムにとって問題だと指摘されてている。
日本が安心と思われているのは、対外資産が265兆円あるから。
日銀が保有する長期国債の残高は8兆円を超えており、日銀の信用供与額は先進国の中で最大だ。
過大な通貨供給は通貨の信任を損なう可能性がある。
日本の国債は安全な資産とされてきたから、金利が低くとも国債の価格は安定してきた。
国債を買い支える力が弱まっていけば国債の価格は下り金利は上がっていく。
国債の金利が3%を超えてくると、日本政府の支払い能力に?が付き始める。
金利が上がると企業のキャッシュフローも急激に悪化する。
世界各地で下げ相場を利用して巨利を得てきたヘッジファンドは、日本売りのタイミングに注目している。
対策として良く言われるのは、税制改革、規制緩和、子供を増やす、移民の受け入れなどによって内需を拡大させる、或いは国民へのサービス水準を下げて歳出を抑制すること。
NHK スペシャル 「日本国債」
2012年12月23日(日)午後9時00分
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/1223/index.html