資金繰り対策としてのDDS(デット、デット、スワップ)

ベンチャー資本政策

資金繰り対策としてのDDS(デット、デット、スワップ)・・・金融円滑化法適用期限(2012年3月末)への対策として

金融円滑化法によって貸し出し条件が緩和され、金融機関が保有する実質な不良債権は2008年からの4年間で13兆円も増加したといわれています(日経新聞3月5日) 。

金融円滑化法適用期限が近づいてくるに従って、金融機関から貸付が受けられず倒産する企業が大量に発生することが懸念されます。

金融機関、取引先に対する貸付債権を正常先、要注意先、破たん懸念先などと分類していますが、要注意先には、その他要注意先と要管理先とに分かれており、要管理先以下の区分に分類されると融資の継続は望めません。金融機関は要管理先以下の区分に分類される債権について、貸倒引当金をつまなければならず、また不良債権として開示の対象としなければなりません。

会社として最も重要な事は、業績を好転させて財務内容を健全化することですが、債務の性質を変えることによって財務内容の評価を好転させる方法として、デット、エクイティ、スワップ(DES)、やデット、デット、スワップ(DDS)があります。

デット、エクイティ、スワップ(DES)は金融機関の債権を現物出資してもらい、代わりに会社の株式を発行するもので、これによって会社の負債が減少し、資本が充実します。しかしデット、エクイティ、スワップ(DES)には、銀行が他の会社の持ち分を取得することに関する法的規制の問題や、これによって取得した株式の売却可能性などの問題があり、.また会社の株主にとっても会社の支配比率が希薄化するという問題があります。
デット、デット、スワップ(DDS)は、金融機関の会社に対する債権を、会社と金融機関の合意によって、一般債権に劣後する債権に変換するものです。

この劣後債権が、長期間償還不要、配当可能利益に応じた金利設定、法的破綻時に他の債権に対して劣後すること(つまり、他の債権が回収されてから配当に預かること)等の要件を備えていれば、その債務は資産性の債務とになり、金融機関が行う財務的な評価においては、資本に準じた取り扱いを許されます。
従って、金融機関からの評価も要管理先とはならず、新規融資や融資の継続も可能となります。

キャッシュフローが回らなくなれば、会社は営業を継続することができません。
金融円滑化法適用期限(2012年3月末)を迎えることによって金融機関からの融資が厳しくなることは明らかなので、会社の状況に応じて、専門家に相談するとともに、このような手段も金融機関と交渉するとよいと思います。

Category:ベンチャー , 資本政策

TAGS:資金繰り 金融円滑化法 DDS

著者
古田利雄>
古田利雄

主にベンチャー企業支援を中心に活動しています。上場ベンチャー企業、トランザクション、NGC、Canbas等の役員もしています。

その他のブログ記事

最新ブログ記事