2012年 6月総会の傾向と留意点
昨晩、東京弁護士会会社法部で、「株主総会公開講座」の発表内容に関する会議を行った。
今年も、6月総会を控え、6月5日(火)に東京弁護士会主催の「株主総会公開講座」が行われる。
これは、会員向けの研修講座で、クライアントに6月総会を指導するにあたっての、当該年度の動向を踏まえたポイント情報を提供するもので、毎年2~300名の弁護士が受講される。
最近の総会の状況
株式保有比率は、外国人が0.7%増加したほかは大きな変動はない。
株主総会の集中日開催は43%まで低下している。よって、集中日開催は増々株主のウケが悪くなるだろう。
所要時間や質問数についても近年あまり大きな変動はなく、株主総会のIR化、すなわちビジュアルの利用や、説明義務の範疇でない質問にも支障がないかぎり回答する傾向は維持されている。
株主の質問内容としては、2011年は震災関係が25%あり、これは本年も同様と推測される。
年金連合会等の機関投資家が「否」の議決権行使を行った議案としては、
取締役選任、監査役選任、新株予約権発行などが多い。
特に、投資一任会社の議決権行使状況として、監査役選任議案については21.8%の反対を行使している。
独立役員関係のガイドラインの変更と補欠監査役の選任議案の増加が背景のようだ。
法改正の影響
2012年の総会に関しては、
ソフトローとしての、証券取引所規則等による独立取締役の選任に関する事項、同開示方法、一部の企業に影響のある会計基準の改正、役員退職慰労金の課税上の取扱が25年度から変更されることなどのトピックはあるものの、会社法や金商法の改正のような基本法令の改正による影響はない。。
総会の進行や質疑については、今年も地震が起こる可能性や地震による業績への株主の関心も大きいので、昨年の総会で準備したことを思い出すとよいだろう。
ちなみに、私は、昨年と2003年にこの講座の講師を担当した。そのときの様子は以下のとおり。
・2011年スピーチ概要
https://www.clairlaw.jp/news/2011/06/news57.html
・2003年スピーチ概要
https://www.clairlaw.jp/news/2003/06/news989.html