こんにちは。
弁護士の中野です。
先日、経済産業省から、「IoT関連技術の特許分類を世界に先駆けて新設しました」という発表がありました。
http://www.meti.go.jp/press/2016/11/20161114001/20161114001.html
広域ファセット分類として、「IoT関連技術の特許分類(ZIT)」を設けるというものです。
これにより、IoT関連技術が横断的に検索することができるようになり、ますますIoTの発展が加速するものと思われます。
さて、本記事では、この広域ファセット分類をどのように活用するのかを説明していきます。
IoTの特許分類であるZITは、平成29年から検索できるようになるようですので、今から使い方を知っておくとよいでしょう。
1 J-PlatPat
J-PlatPatは、特許庁が公開している特許情報プラットフォームです。
ウェブサイト上で特許や商標、意匠などの検索ができるので、これら知的財産について検討する場合に活用します。
利用料も無料です。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage=
以下では、このJ-PlatPatを活用して広域ファセット分類に基づいたの検索方法を説明します。
2 広域ファセット分類
広域ファセット分類とは、特許技術を横断的に検索できるように付された分類です。
現在、以下のものがあり、ここに新たにIoT関連技術(ZIT)が追加されることになります。
ZAA | 超伝導に関するもの |
ZAB | 環境保全関連技術に関するもの |
ZBP | ・生分解性ポリマー |
ZCC | コンビナトリケミストリー関連技術 |
ZDM | 特許査定された出願が、人間の身体の各器官の構造・機能を計測するなどして人体から各種の資料を収集するための方法 |
ZEC | 電子商取引関連技術に関するもの |
ZHV | ハイブリット自動車 |
ZMD | 特許査定された出願が、用法又は用量の点で新規性が認められる医薬発明 |
ZNA | 核酸/アミノ酸配列に関するもの |
ZNM | ナノテクノロジー応用技術 |
ZTD | 生体分子の立体構造 |
ZYW | 車両のヨー方向運動制御 |
ZYY | 手段が特定されない又は複数の手段で実地可能な車両の挙動制御 |
3 広域ファセット分類に基づく検索の方法
IoT関連技術の広域ファセット分類であるZITは、平成29年から検索できるようになるとのことです。
今回は、代わりにZEC(電子商取引関連技術に関するもの)の検索の方法を説明します。
まず、J-PlatPatのウェブサイトを開きます。
そこから、「特許・実用新案」の「2.特許・実用新案テキスト検索」を開きます。
種別/J-GLOBAL検索/キーワードについての検索項目が表示されます。
その「キーワード」の「検索項目」からファセットを選択し、「ZEC」を入力します。
また、これだけでは検索対象が多くなりすぎるので、「キーワード」の「出願日」に適当な日付をいれるとよいでしょう。
以下では、「20150501:」としています(":"は、『以降』の意味です)。
特許・実用新案テキスト検索(入力画面)|J-PlatPat.pdf
そして「キーワードで検索」をクリックすると、全部で5件の検索結果が表示されました。
「一覧表示」から、上記の条件に合ったZECの特許情報を一覧できることになります。
4 最後に
以上のような方法で、広域ファセット分類に基づいた検索が可能になります。
ZIT(IoT関連技術)に基づいて検索できるようになることが楽しみですね。
これを活用してIoT関連技術を発展させていただければ嬉しいです。
※ 特許等に関するより基本的な説明は、拙著『IoTビジネスを成功させるための法務入門』(第一法規)でしていますので、ご参考にしていただければ幸いです。