会社法改正:内部統制システム構築関連の改正のポイント紹介

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平成27年5月1日より、会社法および会社法施行規則等の関連省令が施行される予定です。
そこで、今回は会社法改正のうち、内部統制システム構築に関する改正について、そのポイントを紹介します。

●対象企業
・ 大会社
・ 委員会設置会社(=改正後の指名委員会等設置会社)
・ 改正後に監査等委員会設置会社となる会社
・ 上記以外の会社のうち、取締役会(取締役の過半数)で当該事項を決定した会社

●主な追加対応
 取締役会(取締役会設置会社)又は取締役の過半数(非取締役会設置会社)による内容の決定
(会社法362条4項6号(取締役会設置会社)、348条3項4号(非取締役会設置会社))

 事業報告への概要の記載(会社法施行規則118条2号)

①②の改正の内容・施行時期・規定については、以下の表をご参照ください。

内   容

施 行 時 期

①に対応する会社法施行規則の規定

(取)...取締役会設置会社
(非)...非取締役会設置会社

監査役設置会社の場合

監査役の職務を補助すべき使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項

 経過措置なし
(=平成27年5月1日から)

 施行日(平成27年5月1日)以後に末日が到来する事業年度から施行日以後のものを記載
(改正附則2条7項)

例:事業年度末日が3月末の対象企業の場合
① 平成27年5月1日以降システム構築の決定を行う必要がありますが、
② 本年度の事業報告に記載する必要はなく、来年度の事業報告に5月1日以降の概要を記載することとなります

(取)100条3項

(非)98条4項

3号

子会社の内部者が監査役に報告をするための体制

4号ロ

上記報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制

5号

監査役の職務の執行について生ずる費用又は債務の処理(費用の前払又は償還の手続など)に係る方針に関する事項

6号

グループ内部統制システム

当該会社・親会社・子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制

  1. 子会社の取締役等の職務の執行に係る事項の会社への報告に関する体制
  2. 子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
  3. 子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
  4. 子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制

(取)100条1項

(非)98条1項

5号イロハニ

運用状況

内部統制システムの運用状況の概要の事業報告への記載

 施行日(平成27年5月1日)以後に末日が到来する事業年度から施行日以後のものを記載

※「取締役等」=取締役、業務を執行する社員等その他これらの者に相当する者

※指名委員会等設置会社(=従前の委員会設置会社)の監査委員会についても同様
 (会社法施行規則112条1項・2項参照)
※監査等委員会設置会社の監査等委員会についても同様
 (会社法施行規則110条の4第1項・2項参照)


なお、立法担当官による解説(旬刊商事法務No.2060(2015.2.25)9頁)では、

「改正前において、現行の......内部統制システムの整備についての決定を適切に行っている会社であれば、改正後も......違反することはないと考えられる。」
「会社法362条5項は、大会社である取締役会設置会社の取締役会は......内部統制システムの整備について決定しなければならない旨を定めるが、内部統制システムを整備しないという決定であっても同条5項に違反するわけではないと解される。」

と解説されていますが、自社のコンプライアンス体制をより補強・充実させるため、上記会社法施行規則に規定された内容については、内部統制システムを整備することが望ましいでしょう。

TAGS:コンプライアンス , 会社法 , 会社法施行規則 , 内部統制システム , 改正

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