平成25年12月16日,金融庁の出しているガイドライン「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正がなされました。内容としては,「高齢顧客への勧誘に係る留意事項」です。その内容については簡単にご説明しておきたいと思います。
この金融庁のガイドラインにおいては,高齢顧客に対する投資勧誘においては,適合性の原則に基づいて,慎重な勧誘・販売態勢を確保するとともに,モニタリング態勢を整備する必要があるとし,商品販売後も丁寧にフォローアップしていく必要があるとしています。具体的な内容については,日本証券業協会のガイドラインを踏まえることを要求しています。
そこで,日本証券業協会のガイドラインのポイントですが,
1 75歳以上を目安として高齢顧客とし,80歳以上を目安としてより慎重な勧誘による販売を行う必要がある顧客とします。
2 勧誘可能な商品(国債,普通社債,安定的な投資信託,上場株式等)以外の「勧誘留意商品」については,75歳以上の高齢顧客には役席者による事前承認が必要で,役席者は面談や電話で勧誘の適性性を判断することになります。80歳以上の高齢顧客については,さらに,原則として勧誘日の受注は不可で,営業担当とは別の役席者が受注します。高齢顧客との面談内容は録音等で記録化します。
3 80歳以上の顧客から即日受注を行える例外的な場合としては,家族が同伴で,その家族からも署名を得られた場合や既に保有している同一商品の追加買付の場合,償還により一時的にMMFに入金するような場合などが考えられます。
4 80歳以上の顧客には約定後に約定結果を連絡します。
5 ここで何度も出てくる「役席者」ですが,経験・見識に照らし一定の役職以上の者を指し,管理職者に限定するものではないとされています。
高齢者は資産を保有している方が多く,証券会社としても営業熱心となる一方で,トラブルになりやすいケースでもあります。今年3月15日から本格的な適用開始となっているこれらのガイドラインの趣旨を踏まえて,適切な運用が望まれます(鈴木俊)。
平成26年4月3日