改正金融商品取引法の成立①

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平成24年9月6日,改正金融商品取引法が衆議院で可決し(参議院先議で可決済み),成立しました。

そこで,その内容について簡単に検討してみようと思います。

 

改正内容としては,大きく分けて

①「総合的な取引所」の実現に向けた制度整備

②店頭デリバティブ規制の整備

③課徴金制度の見直し

④インサイダー取引規制の見直し

になろうかと思います。ただ,③と④はワンセットと言えますね。

 

 

①の「総合的な取引所」構想ですが,これは低迷している日本国内の商品取引を活性化させる

ための法整備です(世界的には商品取引は相当活発化していますが,国内では右肩下がりです。)。

この構想自体は今に始まったことではないのですが,監督官庁が縦割りだったために

総合化がうまく運ばなかった経緯を踏まえて,原則として総合取引所の監督官庁を金融庁に一元化したのです。

また,幅広い業者がこの取引所に参加できる形にもなり,より取引に厚みが増すことも

期待できるとも言えます。(一方で,取引所の信頼性を高めるためには

参加業者の質の向上も求められるような気がしますが・・・・。)。

この総合取引所の実現自体については,各取引所の今後の動きにかかってくると思われます。

 

 

②店頭デリバティブ規制の整備についても,従来から行われていたことでした。

店頭デリバティブ取引とは,取引所外で行われるデリバティブ取引で,

いわゆるFX取引の多くは店頭デリバティブ取引だったりします。

今回の法改正では国際的な制度整備の要請から

(2009年9月のG20ピッツバーグ・サミットにおける首脳声明で,

今年末までに標準化された全ての店頭デリバティブについて整備を行う国際合意がなされたのです。),

一定の店頭デリバティブ取引

(*これは内閣府令で定めるのですが,例えば,円金利スワップ取引を想定しているようです。)

における電子取引システムの使用を義務付けることとし,

取引の公正性や透明性を向上させることになりました。

また,海外の電子取引システムの提供者については,内閣総理大臣の許可を得れば

店頭デリバティブ取引に参入できるという許可制度も設けました。

まずは法整備という段階ですが,実務的には今後の内閣府令などが重要になってくると思われます。

 

2012年9月11日

 

 

 

 

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