前回は通貨選択型の投資信託(ファンド)についてご紹介しましたが,今度は,「毎月分配型の投資信託(ファンド)」についても少しご紹介したいと思います。平成24年2月15日の金融庁による監督指針の改正では,この毎月分配型の投資信託についてもきちんと説明することが求められています。
投資信託をやられている方では,毎月分配型の投資信託(ファンド)は聞きなれた言葉かと思います。と言いますのも,プロではない個人の方には「毎月分配型」が人気があるからです。
もちろん,人気があるからといって,安全な商品というわけではありません。
まず誤解してはいけないのは,毎月分配型の投資信託(ファンド)での分配金は,預金の利息とは全く異なるということです。
毎月分配型の投資信託は,毎月決算を行い,顧客に分配金を支払うというもので,何となく運用実績から支払われているように感じますが,実際にはそうではないのです。この分配金が,元本を取り崩して支払われていることもあるということです。
つまり,100万円の投資信託を購入し,毎月1000円の分配金を受け取っていたとしたら,大げさに言えば,100万円の預金を預けて,毎月そこから1000円を引き出しているのと同じだった(しかも高い手数料を払って。)ということもあり得るわけです。
今回の監督指針の改正では,元本を取り崩して分配しているケースについては,元本の払い戻しであることをわかりやすく説明し,「元本払戻金(特別分配金)」と記載するよう求めています。
ちなみに,毎月分配型の投資信託は,人気がある一方で,プロなら買わないと批判の対象にもなっています。普通分配金には税金がかかりますので(なお,元本払戻金は非課税です。),手取りは税引き後の金額になります。その分配金を再投資したい場合には,毎月分配という形にしないでそのまま運用に回した方が運用効率がいい(複利効果を得られる)ということです。
個人的には,運用効率よりも早く現金を手元に欲しいという感覚も十分理解できるので,上記の構造を理解した上での購入であれば,それはそれであり得るところだと思います。
大事なことは,十分かつ適切な説明を受け,正確に理解した上で購入しているのかどうかということなのです。
裁判になると,販売会社側は,「理解しました」という書面にチェックをしているなどと主張してきますが,顧客自身が不正確に理解(勘違い)している場合には無意味としか言いようがありません(要するに,「わかっていないことさえもわかっていない」「理解したと誤解している」状態です。)。
私も,相談を受けて,損害賠償請求の裁判等を起こすにあたって,依頼者に対して問題となっている商品の特性やリスクを説明するのですが,その段階まで商品の特性やリスクをきちんと理解していない場合が非常に多いです。
販売会社の十分かつ適切な説明が強く求められます。
平成24年4月6日