前々回と前回の続きです。
今回は,消費者契約法により契約の取り消しを主張するのはいつまでか,というお話をします。
この点については,消費者契約法7条1項が定めています。「追認することをできる時から6箇月間行わないときは,時効によって消滅する。」「当該消費者契約の締結の時から5年を経過したときも,同様とする」となっています。
けっこう短いなという感じを受ける方もいるかもしれませんが,民法上の取消権と比べてもかなり短いのです。その点については,事業者の行う取引というのは反復継続するもので,迅速な処理が求められ,かつ,取引の安全の確保等の要請から,短くしたと説明されています。
契約締結の時から5年は分かりやすいです。先物取引のときから5年経過後であれば,この消費者契約法による取り消しの主張はできないということになります。
さて,ここで気になるのが,「追認をすることができる時から6箇月」です。
追認をすることができるときがいつなのかは,条文を読んだだけでは分かりません。これは,取り消しの原因となる状況が消滅したときと言われています。先物取引などで言えば,例えば,不実告知や断定的判断の提供などにより事実を誤認して先物取引をしてしまったと気付いたときです。
そして,取り消しの原因(不実告知や断定的判断の提供により事実誤認したこと)について気付かないままに5年が経過しても消費者契約法の取消権は主張できないことにもなります。
ただ,いつ気付いたかというのは,内心の話であり,客観性には欠けますから,業者の違法行為に気付いたらすぐに弁護士に相談するなどした方がいいですね。
もっとも,前々回のブログにも書きましたが,消費者契約法が適用されないからといっても,商品先物取引法等で十分に争えますから,6箇月という時効を過剰に気にしなくてもいいとも言えます。
2011年10月27日