会社を設立すると決めた時、まず考えなくてはならないのは、「どんな種類の会社を設立するか?」です。
会社法上、会社には、株式会社と持分会社があり、持分会社は、合同会社(日本版LLC)、合名会社、合資会社に分類されます。また、「会社」という形態以外にも、組合、NPO法人、有限責任事業組合(LLP)などの制度を利用してビジネスを展開することも考えられます。
今回は、日本の既存の会社の中で圧倒的多数を占める「株式会社」の特徴をいくつか挙げたいと思います。
株式会社の社員である株主は、株式の引受価額を限度とする責任だけを負います。会社の債権者は、会社の財産に対してのみ債権を行使することができ、株主の財産に対して債権を行使することはできません。
会社の所有と経営は分離されていて、会社を所有するのは株主である一方、会社の経営は株主からの委任を受けた取締役などが行います。
株式を上場して多額の資金を調達することも可能です。
社名に「株式会社」が含まれることで、世間や取引先からの信用を得やすいというメリットもあります。
一方、他の種類の会社と比較した場合に、コスト面で割高になる部分があります。
まず、設立登記費用は、株式会社の場合が最低15万円、持分会社(合同会社、合名会社、合資会社)の場合が最低6万円となります。
また、役員に任期があり、原則として、取締役は2年に1回、監査役は4年に1回、役員の選任手続を経なければならないとともに、変更登記が必要となります。但し、株式譲渡制限のある会社であれば、役員の任期を、取締役・監査役共に最長10年まで伸長することができ、手続の煩雑さ、登記費用の節約はある程度可能です。
なお、旧商法下では、最低資本金制度がありました。最低資本金制度とは、債権者保護の目的から、設立時より常に資本金として計上しておくべきとする資本金額規制のことです。株式会社の場合、原則として1000万円以上の資本金が必要とされていて、株式会社を設立する場合、設立時にある程度まとまったお金が必要でした。
平成18年に施行された会社法にはこの制限はなく、資本金を1円とする株式会社の設立も可能です。