違法な金融商品取引事例(無断売買①)

不当勧誘先物取引金融商品取引法

頼んでもいない商品を買ったと言われ,しかもそれで損失を受けたとなれば,納得がいかないのは当たり前です。

今回は,違法な先物取引の事例として,「無断売買」を取り上げます。

無断売買とは,金融商品取引業者が顧客の同意を得ずに,その顧客の計算(つまり,顧客の損得)により取引を行うことをいいます。こんなひどいことがあるのかと思われる方もいるかもしれませんが,このような相談は結構あるものです。無断売買の効果は顧客に帰属しません(最判平成4年2月28日)。

なお,現在,金融商品取引法36条6号・金融商品取引業等に関する内閣府令117条11号において「あらかじめ顧客の同意を得ずに、当該顧客の計算により有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等(有価証券等清算取次ぎを除く。)をする行為」(要するに,無断売買)は禁止行為だと明文化されています。

無断売買は不当な勧誘から始まる一連の行為の一環として行われることもあります。無断売買は,先物取引に限定されるものでなく,あらゆる金融商品取引に起こり得るものです。

問題は,無断売買であるということを裁判所に認めてもらうことです。「言った言わない」の話であることが多いという上に,実際には,無断売買じゃないかと抗議しつつ,損をすることをおそれて業者に言われるがままに書類を作らされ,無断で行われた売買が書類上は顧客がきちんと発注したかのような体裁になってしまっていることが多いのです。後から作った書類であったとしても,無効な取引を後から真意に基づき認めれば,それは「追認」があったとして,有効な取引になってしまいます。

また,無断で買わされた金融商品について,損失拡大をおそれて,顧客が業者に売却を指示することが多いのですが,この売却指示が「追認」ではないか,とか もともと「無断」ではなく委託があったのではないかと推認されてしまう場合もあります。

このように一つ一つの行為が有利不利問わず大きな意味を持ってきてしまうことがありますので,無断売買があった場合には,すぐに弁護士に相談されることをお勧めいたします。

次回のブログでは,こんな無断売買の実例を紹介する予定です。

2011年8月23日

Category:不当勧誘 , 先物取引 , 金融商品取引法

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