東京都暴力団排除条例について(1)

反社会的勢力排除

東京都暴力団排除条例(以下「本条例」といいます。)が平成23年10月1日に施行される予定ですが、本条例の第3章には「都民等の役割」が定められています。
今回は、事業者の契約時における措置を定めた第18条をご紹介します。

本条例18条(事業者の契約時における措置)

1 事業者は、その行う事業に係る契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認める場合には、当該事業に係る契約の相手方、代理又は媒介をする者その他の関係者が暴力団関係者でないことを確認するよう努めるものとする。

2 事業者は、その行う事業に係る契約を書面により締結する場合には、次に掲げる内容の特約を契約書その他の書面に定めるよう努めるものとする。(2号3号省略)
① 当該事業に係る契約の相手方又は代理若しくは媒介をする者が暴力団関係者であることが判明した場合には、当該事業者は催告することなく当該事業に係る契約を解除することができる。

第18条は、事業者に対し、一定の場合、その行う事業に係る契約の相手方等が暴力団関係者でないことを確認する義務を課し(第1項)、その行う事業に係る契約を書面で締結する場合には、相手方等が暴力団関係者であることが判明した場合には無催告解除できる旨等の特約を定める義務を課すものです(第2項)。

契約書には、相手方等が暴力団関係者であることが判明した場合に限らず、反社会的勢力であることが判明した場合についてまで拡張して特約を定める場合が多いと思われます。しかし、契約締結後に相手方等が反社会的勢力であることが判明し、無催告解除特約に従い契約を解除するとなると、解除権の発生の有無を巡って争いになるなど、思わぬ費用が発生したり、対応に多大な時間を費やすことになりかねません。また、相手方が反社会的勢力であると主張することからトラブルが発生することも予想されます。
よって、契約締結前に相手方について十分な身元確認を行うことが肝要といえます。

なお、第18条は努力義務ですので、これに違反しても罰則はありません。しかし、対応を怠った結果、企業に損害を与えた場合、取締役には善管注意義務違反や忠実義務違反を問われる可能性があります。このため、早急に契約条項の見直し・改定をされることをお勧めします。

参考:警視庁HP「『東京都暴力団排除条例』の制定について」http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sotai/haijo_seitei.htm

Category:反社会的勢力排除

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