7月16日に九門崇さんのセミナーが行なわれました。
中国の現状、中国で成功している企業の紹介、成功の秘訣、問題についての話がありました。
1.中国の現状
中国は、安定した高成長を続けており、2009年に一人当たりのGDPが消費増加の目安となる3000ドルラインを超えました。州別一人当たりGDPは、10倍くらい格差があり、中国での販売は、地域によって嗜好が異なることから、どの地域をターゲットにするかが重要になります。また、一人当たりGDPが低い地域は、伸びしろがあるという考え方もできます。
中国の中間層(200〜1400万円の可処分所得世帯)は4億人、インドでは2億人存在します。
「80後」層といわれる1980年以降生まれの若者は、一人っ子政策で「6つのポケット」をもっており、主にファッション、デジタル製品などに消費します。
「新富裕層」はかつての日本のモーレツサラリーマンのようで、癒しを求めて海外旅行にでかけます。メイド・イン・ジャパンは品質の高さへの信頼感、安全性を背景にした訴求力があります。
2.中国で成功している企業の紹介
味千ラーメンは、日本に100店舗、中国に400店舗(70都市)展開しています。1995年に中国進出し、
現在香港市場に上場している香港パートナー企業が運営主体として、事業展開、資金調達を任されています。日本側は、品質管理、現地に合わせた居酒屋的メニューの開発を行っています。
ファンケルは、「無添加だから肌にいい」という中国人の考え方と日本製品の品質の高さを前面に出した
ブランド戦略で成功しています。販売網は現地のパートナーに任せ、日本語パッケージのまま、日本ブランドとして販売しており、高級品として日本の1.6倍程度の価格に設定して販売しています。
3.成功の秘訣
中国市場で成功するには、駐在員を3年毎に変えるようなことはせず、腰を据えてじっくり取り組むべき
です。また、日系企業は、経営の現地化・グローバル化を推進することが求められます。
地方政府との関係作り、現地顧客への売り込み、現地代理店の活用、人材の育成評価、メディア対応など日本人のみでは対応しきれず、現地で採用した社員に任せることが有効です。
スピード感ある経営と現地法人への権限委譲が成功のカギで、現地に判断を任せて報告させるようにして上海を第2本社化するような体制が必要となります。いずれ中国法人がアジア本社となるでしょう。台湾企業の中国との関係作りからノウハウを学ぶこともできます。
中国での広告にはお金がかかるのですが,日系企業は広告投資が少ないようです。品質の高さをイメージづけするには,広告が有効と思われます(日本に来る中国人に銀座などのプラッグショップを見せてアピールすることも有効だと思います)。
また、中国では、VELO社が提供するクーポン発行サービス(マックやビックカメラなど)が流行っています。携帯ユーザーが8億人、ブロガーが2億人(ブログは流行っているのでマーケティングツールとして有効)、ネットショップ1億800万人規模になっていることから、これらを利用したプロモーション等も効果的と思われます。
米国企業では、製品の効能を地道にPRする戦略をとっている企業があったり、韓国企業はPRに費用をかけて、Webに「中国への貢献」を表示していたりします。
4.問題
中国の大学生は激増していますが、日本の会社は彼らにあまり人気がありません。彼らは「発展空
間」=キャリアパスと評価の明確化を求める傾向にあり、日本企業には魅力を感じていないようです。
日本への中国人留学生は7年で3倍になっており、彼らを活用すべきです。
他には、中国では、労働争議を背景として賃上げ傾向にあることから、中国の人件費を安価なものとして利用し続けるのはむずかしくなりつつあります。